「食べる、話す」 の力に

言語聴覚士 笠原 里沙さん

「話す」「聞く」「食べる」。日常の中で当たり前のように使っている体の機能だが、病気や障害などによって損なわれると生活の質は低下する。言語聴覚士は問題の原因を明らかにし、必要な訓練や指導などを行って、自分らしく生きようとする人々を支えている。超高齢社会が進展し、嚥下障害のリハビリを必要とするお年寄りが増え、言語聴覚士の役割は大きくなっている。公立藤岡総合病院(藤岡市中栗須)の笠原里紗さん(28)は「嚥下機能の維持は元気な時から取り組んで」と訴える。

言語障害のリハビリでは言語訓練用絵カードを使う。
「患者さんと一緒になって根気強く取り組むことが大切」という笠原さん

再び言えた 「ありがとう」に感動

小さい頃から「人の役に立ちたい」と思っていた。高校生の時に手に取った職業の本に言語聴覚士の仕事が載っていた。「食べたり、話したりできなくなるとどうなってしまうのだろう」「何かできることはないのか」。そう思ったのが言語聴覚士を目指すきっかけだった。栃木県内の大学で学び、言語聴覚士の資格を取得した後、病院で6年間働いている。嚥下障害や脳卒中などによる言語障害のリハビリを担当している。少し回復して話せるようになった人が「ありがとう」と言ってくれた時はうれしかった。

終末期に誤嚥性肺炎の危険があっても胃ろうではなく、食べることを選択する人もいる。最期の時まで安心して好きなものを食べられるように支えたいと思っている。

嚥下障害の予防は歯の健康から

飲み込む力とかむ力は深く関わる。かむ力が弱いと飲み込むのに必要な筋力も低下する。自分に合った入れ歯を使うことは重要で、入れ歯のない人や合っていない人には、合うものを使うように口腔外科と協力して指導している。嚥下障害は60代後半から訴える人が多い。普段からかかりつけの歯科医院があると安心だ。

口を大きく開けたり、舌を動かしたりする嚥下体操という口のリハビリを食事前の準備体操にすると嚥下障害の予防となる。しっかりかんだり、声を出すことも大切。内にこもらず、友人と会話を楽しみながら食事やお茶を飲むことも予防になる。