家庭の“常備野菜” 春キャベツ

キャベツはビタミンCをはじめ各種栄養素に優れている上、煮てよし炒めてよし、そのまま生で食べてもOKと、調理法を選ばないため家庭の“常備野菜”として人気がある。本県は嬬恋村に代表される夏秋キャベツの生産で知られるが、近年は各地で標高差を利用して周年栽培が行われ、1年を通して市場に出回っている。新鮮なキャベツを使って、お好みの手料理を食卓に乗せてみてはいかが。

春キャベツの栽培が盛んな前橋市の赤城山南面で、収穫作業がピークを迎えている。前橋市富士見町の青木さんの畑でも、パート従業員10人の応援を得て、連日午後3時ごろまで作業が行われている。

「今年は生育期に雨が少なかったせいか、結球が小ぶりのものが多いです」と青木さん。キャベツ畑に入ると、右手に持った包丁で、1株ずつ素早く切り取っていく。それをパートの女性が段ボール箱に手際よく詰めていく。1箱にLは8個、2Lは6個入る。重量は8kgになるという。

「注意して持ち上げないと、腰を痛めてしまいます」と夫の辰敏さん(66)。軽トラックに乗せ、青果市場まで運ぶのを日課としている。栽培面積は春キャベツだけで2haに及び、出荷数は8000~1万箱に上る。「春キャベツは夏秋や冬キャベツと比べ、やわらかくて甘味もありとてもおいしいです」と話す。

赤城山南面で産地づくり

青木さんが辰敏さんと一緒にキャベツ栽培に乗り出したのは40年ほど前。実家のある赤城山南面で春キャベツの産地づくりを進めているという話を聞き、「夫と力を合わせてやってみよう」と思い立った。

専業農家に生まれ、小さいころから米麦や野菜作り、養蚕などを手伝いながら育った。そのせいか、農作業は全く苦にならないという。最初は所有していた1haの畑からスタートし、徐々に栽培面積を広げていった。現在はキャベツだけで4haに上る。このほか、枝豆、コマツナ、ブロッコリーを主力に、年間を通して切れ目のないよう計画栽培を行っている。

春キャベツの栽培品種は「金糸201号」など3種類。9~10月に種まき、11月に植え付けを行い、収穫は4~6月。栽培期間が長く、冬を越さなければならないので、定植後は寒さと乾燥に注意する必要があるという。その一方、「季節的に害虫被害や雑草の発生が少なくて助かります」と青木さん。

地元の直売所で人気

春キャベツは葉の巻きがゆるく、丸い形が特徴。食感はサクサクしており、主にサラダなどの生食に利用されている。「青果市場のほかに近くの農産物直売所(風ラインふじみ)に出荷していますが、とても人気があります」と青木さんはうれしそうに話す。

生産者はピーク時、地元の田島地区で30人を数えたが、高齢化や後継者不足などから徐々に減り、今ではたった7人に。「仲間が少なくなるのはやはり寂しいです」

7年前に「ぐんま農業委員女性ネットワーク」が発足。青木さんはスタート当初から会長を務め、農業分野でも女性が活躍できる環境づくりなどに努めている。「女性の担い手を育成し、後継者不足を補えるようになれば」と力強く抱負を語った。


元気な暮らしに 役立つ 栄養のお話
桐生大学医療保健学部
栄養学科准教授
荒井 勝巳

由来

キャベツは、アブラナ科アブラナ属の植物で、ブロッコリーやケールと同じ仲間です。原産地はヨーロッパの地中海沿岸といわれ、涼しい気候を好む植物ですが、北海道から沖縄まで日本各地で栽培されています。一年中スーパーなどで目にする野菜ですが、季節により産地や品種を変えて流通しています。

ちょうど今の時期に流通が盛んな春キャベツは、新キャベツや春玉キャベツとも呼ばれ、秋(9~11月)に種をまき、翌春(3~5月)に収穫されます。冬キャベツや夏秋キャベツは形が楕円で葉と葉の間には隙間がなく、葉が硬くて厚いのに対し、春キャベツは形が丸く、葉の巻きがゆるやかで柔らかいのが特徴です(写真参照)。色も緑が強く、断面を見てもわかるように黄緑色から黄色へとグラデーションのように色がついています。

特徴的な成分

キャベツに含まれる水溶性のビタミン様物質(アミノ酸)のひとつにビタミンUがあります。潰瘍を意味する英語“ulcer”の頭文字をとってビタミンUと命名されていますが、生体にとって必要な栄養成分でないことから正式にはビタミンとして認められていません。キャベツから発見されたことから“キャベジン”とも呼ばれ、胃酸の分泌抑制や胃粘膜の新陳代謝の活性化などの働きがあることが知られています。そのため、胃炎や胃潰瘍の予防・改善に効果が認められ、医薬品としても利用されています。

生産量日本一!

平成29年産 野菜生産出荷統計(農林水産省)によると全国におけるキャベツの収穫量は1,428,000tで、第1位は群馬県の261,000t、ついで愛知県の245,100tとなっています。群馬県内で生産される約9割は嬬恋村で、寒冷涼地でつくられる夏秋キャベツの生産量が多く、全収穫量の約52%が群馬県で生産されています。

食べ方

冬キャベツは葉が硬く歯ごたえがあるため、ロールキャベツや焼きそばの具などに向いていますが、春キャベツは①キャベツ特有のえぐみや青臭さが少ない②葉も柔らかく水分量が多いことから、熱を加えずにサラダや浅漬けなどの生食が向いています。