異常な発汗 多汗症かも!?

お医者様
群馬大医学部附属病院皮膚科 藤原 千紗子さん

今年も暑い夏がやって来る。じりじりと照り付ける日差しを受け、汗があふれ出る。発汗は体温調節として大切な機能だが、異常な量の汗が出る場合は多汗症の可能性がある。群馬大医学部附属病院皮膚科医師の藤原千紗子さんは「汗によって学生・社会生活に苦痛を感じている方は治療法があるので一度受診してほしい」と勧める。

暑さ関係なく発汗

暑さや運動と関係なく、多汗症は手のひら、足の裏、脇、頭部・顔面などから多量に発汗します。汗をかくのは、体温調節のほか、人前で緊張した時などの精神的なもの、辛いものなどを食べた時の味覚からくるものがあります。全身や各部位から汗が噴き出すほど出る場合は、多汗症の可能性があります。

100人に5、6人は多汗症と言われていますが、実際の数はもっと多いと考えられています。夏に悪化し、冬は落ち着く人もいますが、4割は一年中症状が現れているという調査もあります。

汗腺は全身に分布する「エクリン汗腺」と、脇の下など限られた部分にある「アポクリン汗腺」の2種類あります。多汗症は、エクリン汗腺の汗の過剰放出が原因です。一方、アポクリン汗腺から分泌される汗は、一般的にワキガと呼ばれる強い臭いを発する腋臭症を引き起こす原因となります。

若い年代に多い

多汗症は、全身より体の一部に汗が増加する「局所性」が多く、中でも脇が一番多い箇所です。甲状腺異常や低血糖、脳梗塞などの病気との合併症や薬の副作用などにより発症する「続発性」と、明らかな原因のない「原発性」とがありますが、多くの患者が原発性です。

発汗を促す交感神経が人より興奮しやすい体質(遺伝)の可能性も指摘されていますが、多くは原因がよく分かっていません。小中学生頃から学校生活などで支障をきたすようになり、受診して多汗症と診断されることもあります。患者の大半が子どもを含めた20、30代の若い人たちです。男性が若干多いとの報告もありますが、女性は症状を気にして受診しないことも考えられ、性差のない病気と言えます。

重症のケースとして、手のひらの場合は手にした紙がぬれたり、パソコンのキーボードを打っていて汗が滴り落ちたりします。足の裏では、靴下が常に湿った状態で、床に足跡が残るなどし、手の多汗症と併発することが多いようです。脇の下ではシャツの汗じみだけでなく、1日に何度も着替えないといけない状態になります。

多汗症の症状例

生活での影響も

予防としては、飲食面で刺激物やカフェインを控える、精神面で緊張しないようにリラックスすることを心掛けるなどが挙げられますが、日常生活で困る時は、治療が必要です。

治療法としては、塗り薬の塩化アルミニウムが効果的です。効果がなかった場合、手足では、容器の水の中に浸して微弱な電流を流すイオントフォレーシスも有効なことがあり、行っている施設もあります。脇では、発汗を抑制するボツリヌス毒素の注射を行います。それでも改善が見られない場合は、交感神経を遮断する手術を行うこともあります。

症状がひどくなると、人との交流に消極的になり、いじめや不登校、ひきこもり、仕事の支障など学校や会社での生活に影響が出ます。少しでも気になったら医療機関に相談してください。

発行
上毛新聞社営業局「元気+らいふ」編集室
FAX.
027-254-9904