新型コロナ重症化防げ 肺の生活習慣病COPD予防を

11月以降、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者数が、「第2波」のピークだった8月上旬の水準を上回る過去最多を更新し続け、「第3波」の到来が指摘されている。中でも重症化しやすいのは、高齢者をはじめ、肺や心臓などに持病を持つ人たちで、いったん感染すれば命の危険もある。今回、慢性肺疾患患者の新型コロナ対策や肺の生活習慣病ともいわれる「慢性閉塞性肺疾患」(COPD)の原因や予防法などについて、前橋赤十字病院の呼吸器内科部長の滝瀬淳さんに聞いた。

前橋赤十字病院
呼吸器内科部長
滝瀬 淳 さん
たきせ・あつし 1956年、埼玉県生まれ。群馬大医学部卒。医学博士。呼吸器病学、肺がんが専門。同病院長補佐、地域がん診療連携拠点センター長兼任

現れやすい感染症状

―慢性肺疾患にはどのような病気がありますか。

経過が長引く肺疾患のことを指します。これまで肺気腫や慢性気管支炎と呼んでいた病名を、最近では慢性閉塞性肺疾患(COPD)とまとめて呼ぶようになりました。そのほか、間質性肺疾患や気管支拡張症、気管支喘息ぜんそくなどが挙げられます。

―喘息の子どもの重症化リスクは。

気管支に慢性的な炎症が起こる気管支喘息は、新型コロナに感染しにくい傾向があるといわれており、小児喘息も同様です。国内では喘息の有無に関わらず、子どもが重症化して死亡した報告は現在のところありません。

―持病がない人と比べ、慢性肺疾患の患者は感染しやすいですか。

どのような人が感染しやすいかまだ分かっていません。重症化リスクが高いのは、高齢者や基礎疾患(慢性肺疾患のほか、糖尿病、心不全、高血圧、がんなど)のある方、病気や薬の影響で免疫機能が低下している方です。特に高齢者や慢性肺疾患の患者は、もともと風邪やインフルエンザにかかると肺炎になりやすいため、新型コロナの感染症状も現れやすく、命の危険を伴います。

―インフルエンザが流行する時期です。新型コロナとともに感染対策は。

気道感染を予防することが重要です。共通対策として、人混みや「3密」(密閉、密集、密接)を避け、こまめな手洗いや外出時はマスクを着用して「咳エチケット」を徹底することです。インフルエンザワクチンは必ず接種してください。さらに、高齢者は肺炎を引き起こしやすいため、65歳以上の方は、5歳おきに市町村が実施する「肺炎球菌ワクチン」の定期接種も受けてください。

原因の9割は喫煙

―COPDは肺の生活習慣病といわれています。どのような病気ですか。

空気の通り道の気道が慢性的に狭くなり、気流閉塞を起こします。肺機能検査で1秒率(1秒間の肺気量/肺活量)が70%未満で、治療薬を使っても改善しないとCOPDと診断されます。高齢化とともに増加傾向で、40歳以上の8・6%、罹患数は推定530万人と考えられています。

―症状や原因は。

ゆっくりと進行し、動くと息切れがする、慢性的にせきやたんが出るなどの症状が現れます。大気汚染といった有害物質や遺伝的な要因も考えられますが、最大の原因は喫煙で9割を占めます。

―早期発見するために必要なことは。

徐々に進行するため、早期の場合、一般的に無症状です。喫煙者や喫煙していた方で、慢性的にせき込むことや動いた時の息切れを自覚し始めたら、すぐに呼吸器内科のある医療機関で肺機能検査を受けてください。健康診断での胸部レントゲンでは早期発見は難しいです。

悪化スピードの抑制

―進行するとどうなるのでしょうか。

労作時の息切れやせき・たんを常に自覚するようになります。ゆっくりと進行し、最後は呼吸不全といって酸素が足りない状態になります。合併症として肺がんや肺炎のほか、肺が過膨張して心臓や血管を圧迫し、気胸ききょうや肺高血圧症などを引き起こすこともあります。併存症として、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、糖尿病や高血圧の悪化、骨粗しょう症や筋力が低下するサルコペニアの進行といったさまざまな障害が現れることもあります。

―予防法や対策、治療法は。

予防法は禁煙することに尽きます。自分の意思でやめられない方は、禁煙外来の受診をお勧めします。肺炎にならないよう、感染対策にも努めてください。

呼吸不全などへの悪化のスピードを抑えるため、さまざまな治療法を複合的に行います。症状や呼吸機能の程度によって気管支を広げる気管支拡張剤の吸入を検討します。理学療法士が呼吸方法をサポートする呼吸リハビリテーションも有効です。呼吸不全を合併した場合は酸素療法を行います。

―最後にメッセージを。

診断されていなくてもCOPDが疑われる方、予備軍の方は多くいると思います。生活習慣を見直して禁煙や感染予防に努めてください。COPDに罹患しても治療を継続し、担当医とよく相談をして、上手に病気をコントロールすることが長生きの秘訣ひけつです。

新型コロナウイルス感染症対策
発熱などの症状があったら…