納得いく意思決定を 手助け

認定遺伝カウンセラー 佐藤 響子さん

認定遺伝カウンセラーは、遺伝病の医療を必要とする患者や家族に遺伝情報や支援制度など、さまざまな情報を適切に提供する専門職。県立がんセンター(太田市)に勤務する佐藤響子さん(31)は、臨床遺伝専門医や医療従事者と連携して不安や疑問を抱える患者や家族の状況に寄り添い、納得のいく選択ができるように意思決定をサポートしている。

相談者の話を丁寧に聞く佐藤さん。必ず臨床遺伝専門医と二人でカウンセリングする

遺伝情報 適切に伝える

大学では化学を専攻し、3年で進路を考えるにあたって大学のOBや知人に話を聞いた。「数年後には、患者さんに近い目線で遺伝性疾患や検査について情報提供できる人材が必要になる」と耳にし、関心が芽生えた。情報を分かりやすく伝えて、病気と向き合う人を支えたいと考えるようになった。遺伝子が原因の先天性疾患を持つ人が身近にいたこともきっかけになった。

2年制の遺伝カウンセラー養成専門課程のある大学院に進学。医療用語に苦戦したが、修了後の認定試験に合格。栃木県立がんセンターに入職し、今年4月から群馬県立がんセンターに毎週1回、勤務している。

生まれつきの遺伝子のタイプにより、若年から特定のがんを発症しやすい遺伝性腫瘍がある。相談者から既往歴や家族歴を丁寧に聞き取り、考えられる遺伝性腫瘍の種類や診断がついた時の対策、家族が同じ体質である可能性があるかどうかについて正確な情報を提供する。「遺伝イコール分からない」ということが、怖さや不安につながる。かみ砕いた説明を心掛け、患者や家族の状況を共有していくと、相談者は「したいこと」が次第に見えてきて前向きに考えられるように変わっていく。「そこに居合わせたり、家族の絆が垣間見えたりすると、励みになる」とほほ笑む。「看護師さんが患者さんに要所要所で声を掛けながら信頼関係を築いている。寄り添う姿がとても勉強になっている」と話す。

チームで取り組む

院内では、主治医や臨床遺伝専門医、看護師と診断結果や治療状況を共有。患者がより良い選択をできるように情報収集も欠かさない。月1回行われる遺伝治療部のカンファレンスにも出席。今、何が患者に必要なのかを真剣に話し合っている。

がんセンターでは外来患者だけでなく、発症していない人の相談も受け付けている。「何らかの病気になりやすい遺伝子を持っている可能性は誰にでもある。不安や恐れを一人で抱え込まずに相談に来てほしい」と呼び掛ける。

今年4月時点で認定遺伝カウンセラーは、全国に267人。県内ではまだ同業の人の話を聞かないが、「有望な職種としてお勧めしたい」。仲間と情報交換してスキルを磨くことは願いの一つ。「患者さんの状況は本当にさまざま。もっともっと患者さんに寄り添えるように学び、経験を積みたい」と意欲的だ。