鍋料理に欠かせぬ キノコ
栄養豊富で 健康アップ!

ナメコの収穫作業を行う高山さん

本県は古くからさまざまなキノコが栽培されている。全国5位(2018年)の生産量を誇るシイタケや同6位のマイタケなど種類も豊富だ。独特の味と香り、うまみ成分を有するキノコは、料理の食材として幅広く利用されている。とりわけ、これからの季節にピッタリの鍋料理には欠かせぬ具材ともなっている。栄養豊富なキノコを食卓に上手に取り入れて、寒い冬を乗り切ってほしい。

沼田市北部の山あいに位置する佐山地区。広大なリンゴ畑が点在するこの地で、高山さんはキノコ栽培に打ち込んでいる。広い敷地には、母屋や資材置き場などのほかに、いくつもの大きな建物が密集している。

「キノコの栽培棟は全部で5棟あります」と高山さん。栽培しているのはナメコを中心に、マイタケ、シイタケ、エリンギの4種類。いずれも「菌床栽培」で、菌床作りから菌の植え付け、培養、収穫までを家族4人で手分けして行っている。

菌床から大きく成長したシイタケ

かつては切り出したままの原木からキノコを発生させる「原木栽培」が主流だったが、近年はおがくずなどを培地とした菌床栽培が普及している。「いろいろ神経を使いますが、作業効率はよく収量も多いです」と高山さん。


重要な温度・湿度管理

農家の長男として生まれた高山さんが、家業を継いだのは25歳のとき。養蚕の合間に祖父が始めたシイタケの原木栽培を父親の冨士夫さん(76)が受け継ぎ、ナメコやマイタケとともに菌床栽培へと発展させた。

「以前は山菜やウドなども手掛けていましたが、今は夏場のブルーベリーを除くと、キノコ栽培が専門です」と言いながら、高山さんはナメコの栽培棟に案内してくれた。

ひんやりとした室内。何段にも分かれた長い棚の上には、広口瓶のような器の菌床がびっしりと並ぶ。その口元からは成長したナメコが大きな塊を作り、独特の香りを放っている。「少し目を離すと大きくなり過ぎてしまうので、タイミングよく収穫しています」

栽培で最も神経を使うのが温度や湿度管理だ。発芽後にナメコは温度13~14度、湿度85~90%、マイタケは温度17度、湿度90~95%を保つようにしている。「キノコ栽培のポイントは、菌と培地とより良い環境づくりに尽きます」と言い切る。

観光客に人気「なめこ汁」

生産量は年間、菌床数にしてナメコ8万個、マイタケ1万6000個、シイタケ4000個、エリンギ6000個で、そのほとんどを直売所の「なめこセンター」に出荷・販売している。冨士夫さんと生産者仲間が設立した同センターは、玉原高原へ向かう県道266号沿いにあり、山歩きやスキーなどで訪れる観光客に人気がある。「毎日、田舎みそ仕立てのなめこ汁を無料配布しており、おいしいと大変喜ばれています」と笑顔の高山さん。

県キノコ振興協議会の副会長、利根沼田キノコ協議会長を務め、生産者同士の交流を図り、研修や視察を通じて栽培技術の向上などに尽力している。「高齢化や後継者不足から会員数は減少傾向にありますが、力を合わせて群馬のおいしいキノコをたくさん提供したい」と話す。個人的には将来、キノコ狩りが楽しめる農園作りをしていきたいという。

*制作協力/群馬県農政部

元気な暮らしに 役立つ 栄養のお話
高崎健康福祉大学健康福祉部
健康栄養学科講師
熊倉 慧
今月の食材

キノコとは

秋の味覚として、取り上げられるキノコですが、そもそもキノコとは、どう言ったものでしょう。

キノコは、お酒を作るとき使われる麹カビや酵母、ブルーチーズの青カビと同じく、菌類に属します。その中で胞子を形成する際、子実体と呼ばれる大型の繁殖器官をつくるものを総称してキノコと呼んでいます。私たちがスーパーマーケットなどで購入し、「キノコ」と呼んでいる柄に傘のついたものは、菌類の生活環の一部で、大型の繁殖器官(子実体)です。

成分

キノコは低エネルギーで、水分が約90%、たんぱく質が約2~3%、脂質が約0.2~0.5%、炭水化物が約4~8%、ミネラルが約0.5~0.9%含まれています。不溶性の食物繊維も多く含まれ、消化管機能や腸の蠕動ぜんどう運動を促進、栄養素の吸収を穏やかにするなどの働きが期待されます。また、免疫力を高め抗腫瘍効果のあるβ-グルカンは、機能性成分としても知られています。ミネラルではリンや、ナトリウムを体外に排出し高血圧予防に役立つカリウムを多く含みます。ビタミンについて見ると、疲労回復や美肌に作用するビタミンB1、B2や、エネルギーの代謝に関与するナイアシン、B6などのビタミンB群が多く含まれているのが特徴です。また、干しシイタケなど干したキノコは、ビタミンDを多く含みます。キノコを太陽の紫外線に当てることで、ビタミンDが作られます。ビタミンDは、カルシウムの吸収・利用、骨の石灰化などに関与しますので、骨粗しょう症予防効果が期待できます。

キノコのうまみ成分としては、5'-グアニル酸やグルタミン酸などが知られています。一方、特徴的な香り成分としては、マツタケの桂皮酸メチルや1-オクテン-3-オール、干しシイタケのレンチオニンなどが代表的です。

凝固を阻害

マイタケには卵白に含まるタンパク質の凝固を阻害するタンパク質分解酵素が、3種類含まれます。これらの酵素が共に働くことで茶碗蒸しが凝固しにくくなることが知られています。マイタケを入れた茶碗蒸しをつくる時は、あらかじめ加熱処理したマイタケを用いると良いでしょう。

100gあたりの栄養成分値