▼高崎市内の国道17号を走行中、戦車のような装甲車が突然現れ、一瞬自分がどこにいるのか分からなくなった。ロシアによるウクライナ侵攻の映像を連日見ているからだろう。迷彩色の車両を見た瞬間、戦場に放り出された気がした

 ▼「戦争の世紀」に舞い戻ったかのようである。ウクライナの街は破壊され、原発や核関連施設まで攻撃された。首都キーウ近郊では多数の民間人が殺害された 

 ▼湾岸戦争では米国を中心とした多国籍軍による巡航ミサイル発射がテレビで生中継された。あれから30年、ウクライナでは市民がスマートフォンでロシア軍の無差別攻撃や破壊された街を撮影し、SNSを通じて世界に発信する

 ▼スマホに映し出される映像は衝撃的だが、巧妙なうそも含まれている。ゼレンスキー大統領が自軍に武器を置いてロシア側に投降するよう呼びかける偽動画も見つかった

 ▼ロシアは愛国心を鼓舞するプロパガンダを盛んに行っている。世界の国々が核兵器使用を懸念するなか、ロシア国内ではウクライナによる生物・化学兵器使用や核兵器開発の危険が盛んに喧伝けんでんされているという

 ▼「戦争の最初の犠牲者は真実である」との箴言しんげんがあるが、われわれは知らないうちに情報戦に巻き込まれているのかもしれない。知りたい情報だけに接していてはだめだ。あらゆる情報を主体的に読み解く「メディアリテラシー」が求められる。