その昔、商店の壁や露地の塀にホーロー看板なるものが掲示されていたのを記憶しているだろうか。レトルトカレーや栄養ドリンク、蚊取り線香…。往年の俳優がモデルとなった看板広告に心奪われ、商品を購入してしまったという人もいるはず。昭和の雰囲気が色濃く残る飲食店街「呑竜仲店(呑竜マーケット)」(群馬県前橋市千代田町)に、そんな看板がお目見えした。どこかで見たことがある。でも、よく見るとどこか違う。懐かしさと新しさが混在する看板が横丁によりレトロ感を与えている。

 これらの看板、手掛けたのは何と20~30代の若者。仲店への支援のため、クラウドファンディングに寄付するなどした県内外の企業の名前を入れ、既存の看板を模して一から作り直した。昭和の時代からあるかのごとく、エイジング加工を施し、仲店の雰囲気に合った看板に仕上げている。

 企業の社長自らモデルを名乗り出るなど、ユニークな看板がずらり。半世紀以上も昔にタイムスリップした気分で飲食を楽しめること間違いなしだ。デザインなどを手掛けたメンバーの一人、平子絵里加さんは「小さい頃に見た、横丁の雰囲気を残したかった。そして、若い世代にも面白いと思ってもらいたかった」と語る。

 戦後間もなく、市内初のマーケットとしてオープンした仲店。市中心部のにぎわいを創出してきたものの、2020年に営業していたのは17店舗中7店舗のみとなっていた。

 同年、再起をかけて組合の役員を一新、リニューアルを始めた。アーケードを新設し、東西の入り口はちょうちんや竜のイラストで装飾。昼間でも暗かった通りは見違えるように明るくなった。今では、若者の撮影スポットにもなっているという。

 看板の制作・設置はリニューアルの最終工程。だが、多世代が集まる場として在り続けるために、今後もさまざまな仕掛けを試みていくという。

 16日午後3時から、看板のお披露目会を実施する。当日は有名コスプレーヤーも招き、撮影会も行うほか、参加者も仮装して飲食を楽しめる。