▼安中市から長野県軽井沢町方面へ向かう時、国道18号バイパスではなく旧道を選ぶことが多い。JR信越線の遺構「めがね橋」などを横目に、くねくねと折り返す峠道を走る

 ▼自然と速度は控えめになり、前橋市内からの眺めと比べて一段と迫力が増す山並みを楽しむ。山から下りてきたサルに出くわすこともしばしばで、先日はトコトコ向かってくるキツネに道を譲った

 ▼峠は今も昔も交通の要衝。1590(天正18)年3月、豊臣秀吉の小田原攻めの際、前田利家、上杉景勝、真田昌幸らの北国勢がこの碓氷峠を越えてきた。3万5千の大軍に対峙(たいじ)したのは北条方の松井田城である。3千余りでよく持ちこたえたが、4月20日降伏した

 ▼丘陵を利用して築かれた山城に登ってみると、連続した竪堀やS字状の空堀など周到に巡らされた防御の痕跡が分かる。430年前の遺構がほぼ手付かずで残っているのが魅力で、訪れる城郭ファンが増えているというのもうなずける

 ▼国史跡の指定を目指し地元に松井田城址保存会ができたのは2017年。現地説明会や講演会を開いて価値を伝え、“登城”しやすいよう下草を刈ったり案内板を立てたりしている

 ▼最近は城にちなんで地元の和菓子店が寒天菓子を、読み聞かせボランティアが紙芝居を作るなど活動が波及しているという。もっと多くの人に知ってもらえるよう、保存会の活動を応援したい。