嬬恋村は本年度、人工知能(AI)やビッグデータなど最新技術を活用した村のブランド力強化に乗り出した。観光客の村内での滞在時間や他の観光地へ向かうルートなどを把握した上で、観光客に求められる新規事業やイベントを企画する。全国的に知られるキャベツ生産に加え、知名度の高い観光産業を育て上げて誘客につなげたい考えだ。

 村は昨年、総務省が全国から選定するスマートシティ推進事業に採択され、「スマートシティ観光システム」の構築を進めてきた。的確な観光施策につなげるため、昨年末、NTTドコモ(東京都)と連携して都内や埼玉県などに住む3万人を対象とするアンケートを実施。性別や年齢層ごとに、観光にどのくらいの金額を使うかや、温泉や屋外レジャーといった観光に、どんな要素を求めるかなど傾向の分析に生かす。

 草津や軽井沢など周囲に有名観光地を持つ同村は、観光客が村内で消費せずに通過してしまうことが課題となっている。課題解決に向けて、同社が端末数などから推計して提供している人口統計を利用し、村内での観光客の動きを把握。滞在時間や他の観光地へ向かうルートなどから、飲食店の新設やイベント開催の参考にする。

 村はこうしたビッグデータを村内の観光事業者らに役立ててもらう一方、賛同する事業者に入り込み客数の提供などの協力を要請。官民が一体となって、観光客のニーズに合ったサービス提供につなげる。

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」の村公式アカウントは、現在地付近の宿泊施設や飲食店、その内観やWi―Fi(ワイファイ)の有無など観光客が知りたい情報をまとめて提供。AIが自動で質問に答える「チャットボット」も活用し、利便性を向上させた。災害時は避難所の位置など防災情報も確認できる。

 熊川栄村長は「客観的なデータを生かし、村を挙げて観光業を振興していきたい」と話している。

 スマートシティ推進事業に採択されたことで、村はシステム開発費2800万円のうち半分を国の補助金で賄う。