姉の未来さん(左)と一緒にヘアドネーションに挑戦した田辺さん

 髪を失った子どもに医療用ウィッグを贈る「ヘアドネーション活動」に協力しようと、群馬県の太田南中1年の田辺知成さん(12)が小学校6年間で伸ばした約90センチの髪の毛を切った。今回が3回目になる姉の未来さん(25)とともに行い、「誰かのために使われると思うと楽しみ」と満面の笑みを浮かべた。

 10年ほど前、母の薫さん(48)は知人の娘が髪の毛が伸びない先天性の病気だと聞き、未来さんとヘアドネーションに協力。それを見た知成さんも興味を持ち、小学校入学時に挑戦したいと伝えた。薫さんは周囲から嫌なことを言われるかもしれないと心配したが、「それでもやってみたい」と決意した。

 学校で女子に間違えられたり、外出先でトイレに入ろうとすると女性用を案内されたりと嫌なこともあった。だが、髪が肩より長くなった時、学校の教諭が他の児童にヘアドネーションのことを伝えると、理解してくれる友達ができて気持ちが楽になった。

 6年間伸ばし続けられた理由は「優しくて強く、誰かの役に立てるヒーローのような人になりたかったから」。昔から戦隊ヒーローに憧れ、成長するにつれて消防士や警察官なども夢見た。卒業文集にもヒーローへの思いをつづったという。

 薫さんは「自己犠牲があっても人のために頑張りたいと強い気持ちがあった。『見た目だけで人を判断して良いのか』を考えるきっかけにもなったと思う」と振り返る。

 知成さんは太田市内の美容室で薫さんや未来さん、兄の陸玖さん(14)に断髪してもらい、自分でもはさみを入れた。「ずっと長かったから変な感じ。でも、誰かのためになるならもう一回やりたい」と話した。