観光が持つ役割の一つに、人と地域をつなげるということがあります。

 3年前、前橋市の赤城南面千本桜に隣接する公園「みやぎ千本桜の森」でアウトドア・キャンプイベント「AKAGI PIG―OUT CAMP」を初開催しました。今年も実施する予定のこのイベントについて、実行委員は、若い世代に赤城山や地域に誇りを持ってほしいという思いを込めています。

 それは、イベントが評判となり、サクラの季節以外忘れられがちな公園が記憶に残る「あの場所」となることです。また、スタッフとして学生に手伝っていただくことで、イベントを通して地域を知ってもらい、その中での触れ合いや来場者の笑顔に接することで、携わって良かったと思ってもらうことでもあります。

 私は高校卒業後、東京で数年間暮らしました。全国各地の出身者と出会って感じたのは、「自分の出身地はこれが有名!」と自信を持って教えてくれる方が多いことです。当時の私は、「群馬はこれが有名で素晴らしい」という話ができませんでした。

 知り合った人たちは自分と何が違うのか。振り返って考えると「地域と関わりを持つ」ということが浮かびました。彼らは子どもの時から地域の大人たちの言動を見聞きし、体験していたのです。その大人たちも、さらに上の世代の言動を見聞きし体験してきました。

 「この町はここがすごいんだ」「この神社にはこういう歴史がある」。日常の中に多くの“先生”がいるのです。県民性なのかもしれませんが、彼らは地域の長所を自慢してくれます。そうやって知らないうちに地域の誇りが醸成されているのだと感じました。もちろん、世代間での関わりも、とても大切です。

 昔に比べ、地域で人と人とのつながりが希薄になったと言われます。そんな中でも私は、子どもたちが自分の住む地域を知るきっかけを持ち、多くの大人と関わる機会をたくさんつくりたいと考え活動するほか、住んでいる地域の行事にも参加しています。

 県内にいる学生の皆さんにも県内各地にたくさん遊びに出かけてほしいですし、どんな形でもいいので地域と関わりを持ってほしいと思います。地域の大人たちが柔軟な考えを持ち、入り口を広げることが重要だと考えます。若者や若いファミリー世代に知ってもらう工夫をして、どんどん受け入れてください。そうして入ってきた若い世代の声を聞くことも必要です。

 新型コロナウイルス感染症は観光分野にも大きな影を落としています。一方で、マイクロツーリズムへの関心が高まったのは明るい材料です。近隣を観光するこのスタイルには、自分の住む地域の特色や魅力を知るという利点があります。新たな気付きが、地域に誇りを持つことにつながると考えます。

 【略歴】県をPRするぐんまコンシェルジュを経て、観光地域づくり法人赤城自然塾で事務局次長を務める。2022年4月から現職。NPO法人まえばし農学舎理事。

2022/4/16掲載