▼高崎市の観音山丘陵にある鼻高展望花の丘で40万本の菜の花が見頃を迎えた。黄色のじゅうたんが一面に広がる光景からは養蚕の衰退とともに耕作が放棄され、荒廃していた二十数年前の姿は想像できない

 ▼桑の木は伸び放題で道を覆うほど茂り、害虫も発生。ごみの不法投棄も見られたという。立ち上がったのは地域住民だった。荒れ地を開墾して花の景観づくりを進めようと、2001年に「鼻高町をきれいにする会」ができた

 ▼会はNPO法人に発展し、景観づくりは着々と進んだ。四季折々の花が楽しめるようになり、今では観光客も多い。きょうから第21回菜の花祭りが始まる。春の花々が県内外の山々の眺望とともに迎える

 ▼4年ほど前、この時季の楽しみに加わったのが青色のネモフィラ。法人の戸塚実理事長によると、芝桜から転換して徐々に増やし、30アールほどになっているという

 ▼菜の花の黄色とネモフィラの青。県庁31階で県内各地の花の名所を紹介する展示に同会はロシアによる侵攻後、二つの花の色から〈ウクライナに今年も平和を 鼻高展望花の丘ではウクライナ国旗色が見れます〉との説明書きを添えた

 ▼戸塚理事長は終戦の前年に小学1年になり、国道を走る戦車や前橋へ空襲に向かう米軍機を目撃しているといい、「平和を望むのは大事なこと」と話す。夏になれば、花の丘をウクライナの国花、ヒマワリが埋める。