「濃厚な味」という烏骨鶏ドーナツを持つ長さん

 70歳の時に、自ら創業した会社、新生工業の経営を息子に任せ、群馬県千代田町昭和の自社工場内でドーナツ店「ヌーベルオリジン」を始めた。

 ヌーベルは仏語で「新しい」、オリジンは英語で「生まれ」を意味。「人のまねではなく、オリジナルで勝負しようと名付けた」と振り返る。

 コンセプトは「1個食べたらもう1個食べたくなる」。手に油が付かない、さっぱりした味が人気に。持ち前の器用さも手伝って、もつ煮やパンの製造販売も手がけるなど幅広く事業を展開した。

 そんな矢先、昨年9月にがんが見つかった。これまで元気に走り続けてきたので、「入院が退屈で、いろんなアイデアが浮かんできた」と笑う。その一つが「烏骨鶏(うこっけい)の卵を使ったドーナツ」だ。

 町内に烏骨鶏を飼っている人を知っていた。退院後、連絡を取り、一部を分けてもらえるようになった。早速試作すると、濃厚な味わいで「これはいける」と直感したという。スタッフの評価も上々だった。

 ただ、問題が一つ。烏骨鶏は3日に1回しか卵を産まず、サイズも小さいため、「毎日は作れない」ということ。数量限定の事前予約制で販売を始めた。

 8月に80歳を迎えるが、「アイデアが浮かぶうちは頑張りたい。まだ作りたいものがたくさんある」。次回はウズラの卵を使ったドーナツを考えている。