通訳官の腕章を付けて業務に当たる坂本さん(右)と小野田さん

 外国人の取り調べなどで、群馬県警警察官の「通訳官」と、県警に登録した「民間通訳人」が活躍している。共生を目指す上で求められる適正な捜査と容疑者らの人権保障を正確な語学力で支えるキーマンだが、通訳官の育成は容易ではないという。民間通訳人も人手不足の言語が少なくなく、日頃から募集している状況で、県警は積極的な応募を呼びかけている。

 通訳官は本部長が指定し、通常業務をしながら通訳も務める。ベトナム語と英語を操る坂本卓哉巡査部長(37)は、通訳の手配や在留外国人の安全対策などを担う係で働き、要請があれば通訳官として現場に出る。「さまざまな部署の幅広い仕事の最前線に同行できる」とやりがいを語る。

 中国語と英語の通訳官で同じ部署の小野田麗華巡査長(28)は「絶対に間違えられない。本番は定型文でも緊張する」と責任感をにじませる。外国人の相談に寄り添う時に「困っている人を一番近くで助けられる」と充実した様子だ。

 交流サイト(SNS)で次々生まれる新語を把握するため、各国の人が使うウェブサイトなどで情報収集を欠かさないという2人。坂本さんは「常に関心を払わないと、一瞬で付いていけなくなる」とし、方言の知識も必須だという。

 2人は学生時代に留学し、拝命後に国際警察センターで研修して通訳官になった。ただ、求められるレベルは高く「単に研修を終えただけでは指定されない」(県警)という。

 県警外国人総合対策室によると、通訳官の2021年の出動回数は約800回で、活動時間は約2400時間に上る。全体の3分の1をベトナム語が占めた。通訳官の人数は公表していないが「多くない」(同室)状況で、現在は8言語を扱っている。

 外国人が集団で摘発・保護される事件では、別々に話を聞くため多数の通訳が必要になることもある。時間や言語の都合で通訳官が対応できない時、40言語以上を網羅する民間通訳人に要請する。21年に民間通訳人は約2千回出動し、約8千時間活動した。

 民間通訳人は日本語と外国語に精通し、すぐに出動できる人材が求められる。活動すると県警から謝金と旅費が支給される。国籍は問わないが、応募は年10~15人にとどまる。

 不足しているのはベトナム語、ネパール語、インドネシア語、タイ語、タガログ語、カンボジア語(クメール語)の人材。県警は積極的な応募を呼びかけた。