▼記者の取材対象は事件や選挙、スポーツなどさまざまだが、奥が深くて楽しいのが催し物の取材である。展覧会やカラオケ大会などいろいろあるが、なぜか筆者と縁が深かったのは盆栽だった

 ▼歴代首相が何人も座ったというソファに案内されて見事な五葉松を見せてもらったり、国内最高峰の「国風盆栽展」で国風賞に輝いたケヤキを前に話を聞いたこともある。愛好家と話すうちに、いつの間にか盆栽が好きになった

 ▼隠居したお年寄りの趣味のようなイメージがあるが、最近は若い愛好家も増えている。特に海外で注目され、「BONSAI」はいまや世界の共通語。観賞目的で来日する外国人も多い

 ▼盆栽と園芸の違いは芸術性の有無だろうか。成長とともに大きな鉢に植え替え、たくさん花を咲かせ、果実を実らせるのが園芸。盆栽はできるだけ小さく、浅い鉢に植え替え、小さな空間に広大な風景を表現する

 ▼桐生市の愛好家、安田尚子さんは昨年4月、日本盆栽協会2人目となる女性支部長に就任した。盆栽歴はまだ4年だが、仲間に推されて大役を引き受けた

 ▼「明治の文化人に愛された文人盆栽は要らないものをできるだけそぎ落とした美しさがある。その人の思いを木に込めて表現できるのが盆栽の魅力」と話す。園芸店でお気に入りの木を購入すれば初心者でも気軽に始められる。まずは葉の小さな木を選ぶよう教えてくれた。