ブロッコリーは、ダイコンやキャベツと同じアブラナ科の野菜で、花蕾(からい)と花茎(かけい)を食用とする花菜(かさい)類。近年、その種子を発芽させた新芽のもやし状や、かいわれ状の「ブロッコリースプラウト」が市場に出ており、特徴的な成分「スルフォラファン」には、胃がんや胃潰瘍の発症予防の効果が期待されている。

高崎健康福祉大農学部 生物生産学科准教授 熊倉 慧さん

由来

 ブロッコリーは、ヨーロッパ地中海沿岸が原産地として考えられています。20世紀に入り、アメリカで一般的な野菜として栽培され、第二次世界大戦後、日本でも広まりました。

栄養成分

 ブロッコリーの特徴的な成分には、水溶性ビタミンである葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCがあり、野菜の中でも比較的多く含まれています。

 葉酸は、細胞の増殖に関与するビタミンで、胎児の正常な発育に重要です。妊婦さんが葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減することが報告されています。パントテン酸は、糖や脂質の代謝に関与します。ビオチンは、抗炎症物質を生成することによって、アレルギー症状を緩和する作用が知られています。ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲン合成に重要な成分です。抗酸化作用があることから、体内では脂溶性のビタミンEと協力して、活性酸素を除去し、細胞を保護します。これらの観点から、健康のみならず、美容にも重要であることが分かります。

 ブロッコリースプラウトに多く含まれるスルフォラファンは、ブロッコリーから発見され、抗がん作用が注目される化合物です。ピロリ菌感染による胃炎や、胃粘膜萎縮を予防する効果が報告され、胃がんや胃潰瘍の発症予防の効果が期待されています。

 スルフォラファンは抗酸化作用や抗炎症作用があるため、酸化的ストレスや炎症の関与が示唆される、統合失調症やうつ病などの精神疾患改善に対する研究も進められています。

コラム/成分取るにはゆで汁ごと
 ブロッコリーに含まれる水溶性成分は、ゆでることでゆで汁に溶け出してしまいます。そのため、電子レンジを用いた加熱や、ゆで汁ごと食べられるスープのような形で調理することで、これらの成分を逃すことなく、体内に取り込むことができます。
レシピ/ブロッコリーのフリッター
群馬大医学部附属病院 栄養管理部副部長 斉賀 桐子さん
 春の訪れを感じさせる花菜類は栄養豊富で、体調を崩しやすい寒い季節にもお薦めです。揚げたてのサックリとした衣の食感とブロッコリーの甘みが口の中で広がり、病みつきになります。
◆材料(4人分)
ブロッコリー(大きめ1房)、卵1個50g、薄力粉100g、牛乳100g、塩2g、サラダ油適宜
◆作り方
①ブロッコリーは、小房に切り分け、ラップをして2~3分電子レンジにかけておく。
②卵は卵黄と卵白に分ける。卵白に塩を加え、泡立て器で生クリームのようにしっかりとホイップする。
③薄力粉と牛乳と卵黄をよく混ぜたものを②に加えて軽く混ぜる。
④ブロッコリーに③の衣を付けて、サラダ油で揚げる。
エネルギー910kcal/たんぱく質27.1g/脂質51.6g/炭水化物94.0g

 

 ゆでても炒めても揚げてもおいしく、食卓を彩り豊かにする「ブロッコリー」。11~12月をピークに2月中旬まで収穫作業が行われ、葉酸やビタミンCなどの栄養を豊富に含む。赤城おろしが吹き付ける寒空の中、みどり市の大沢貞雄さん(71)と長男の祐介さん(26)親子らは、菜切り包丁で手際良く、1個1個丁寧に収穫している。

理想の出来栄えを 追求

収穫したブロッコリーを手にする貞雄さん(中央)と祐介さん(左)家族ら

 農家の高齢化に伴い、負担の大きい重量野菜は敬遠され、比較的収穫しやすいブロッコリーの出荷量が全国的に増え、秋冬(10月下旬~2月中旬収穫)と春(4月下旬~5月下旬収穫)に分けて栽培されている。貞雄さんは40年ほど前から、当時珍しかったブロッコリーの栽培を開始。この地域の中での出荷量は多く、祐介さんと二人三脚で10カ所ほどの畑合わせて4ヘクタール、年間40トンを出荷している。

1日2千個を収穫

 栽培日数は品種によって90~150日。7月末から秋冬物の種まきが始まる。直径3センチほどの穴が1セット128~200あるセルトレイに土を入れて種をまき、ハウス内で20~25日育苗する。自走式の専用機械にセルトレイをセットして畑に定植させる。2週間ほどしたら追肥し、葉を食べるアオムシなどの害虫対策として定期的に消毒をする。

 食べる部分の茎中央になる花蕾(からい)の形はこんもりとドーム型で、花芽がきめ細かくそろっているのが理想の出来栄え。気温が高いと花芽が開くこともあるため、11月中旬までは早朝5時から収穫し、その日に箱詰めして出荷する。12月以降は、午後収穫・翌日出荷に切り替わる。貞雄さんは「中腰で収穫をするので腰にくる」と苦笑いするが、大きな葉をかき分け、切れ味抜群に研いだ菜切り包丁で次々に茎から花蕾を切り取っていく。貞雄さんと祐介さんが中心となって4、5人で多いときに1日2千個収穫する。

育ち始める“若い芽”

 祐介さんは手伝ったことはあったが、県内の高校を卒業後、東京のデザイン専門学校に通い、そのまま都内で就職。農家になる気は全くなかったが、次第に「両親も若くない。代々受け継いできた農家を残したい」との考えに変わり、2018年に就農。周辺の農家でも同年代の担い手は少ないが、「大変な作業は多いけど、人が食べるものをつくっていることはやりがいがある」と胸を張る。

 貞雄さんは「自分の代で農家は終わりだと思っていたので、戻ってきてくれてうれしい」と素直に喜ぶ。「親父(おやじ)の後を追ってまだまだ勉強ばかり。今後はインターネットを活用した販路の拡大も考えたい」と農業のイロハを学びながら祐介さんのアイデアも膨らむ。農家の後継者不足が進む中、“若い芽”も着実に育ち始めている。

メモ
県内のブロッコリーの主な産地は、前橋地区、桐生地区、伊勢崎地区。2020年度の作付面積644ヘクタールは全国9位、年間出荷量5790トンは全国8位。プランター栽培でき、11月収穫の品種の苗が育てやすい。側面に蕾ができる品種は、小粒だが多くの収穫が楽しめる。