シルクすっぽんのエキスを抽出したスープ

 絹製品製造の絹工房(群馬県富岡市富岡、丸山竜也社長)は、蚕のサナギを餌にして養殖したスッポン「シルクすっぽん」のスープを開発した。養蚕の副産物として出るサナギを有効活用して収益性を高め、養蚕を持続可能な産業としていくことを目指す。富岡製糸場前に構える直営店などで28日から提供を始める。 

 フランス料理店のシェフのアドバイスを受けながら開発した。野菜をベースに、スッポンを長時間低温で煮て抽出したエキスを加えた。1人前750円で直営店のほか、高崎市の県立日本絹の里で提供する。

  同社は絹を原料とした化粧品や寝具を製造する傍ら、2014年に養蚕を始めた。以来課題となってきた採算性の確保に向け、19年にサナギを餌に使ったスッポンの養殖事業を開始。「シルクすっぽん」の登録商標を取得し、年間600匹を生産している。 

  蚕のサナギはこれまでもスッポンやウナギの養殖に利用されてきたが、製糸の工程で繭ごと乾燥し、煮ていたため、餌としての品質は低かった。そこで同社は、繭を切って生きた状態のサナギを取り出して使用。同社によると、従来のサナギの餌よりも栄養価が高く、スッポンが食べる量が2倍近くに増えた。 

 切った後の繭は、短い繊維をより合わせて1本の糸にする「絹紡糸」に加工し、自社の繊維製品の原料とする。一般に絹紡糸は、不良品の繭やくず糸で作り、サナギの色が移ってしまうこともあるが、今回はサナギを取り除いてあるため、白くて上質な糸に仕上がるという。 

 20日に開かれた関係者向けの試飲会で、丸山社長は「繭だけで利益を出すのは難しく、サナギの活用に至った。将来的には養蚕農家からサナギを買い取ることも検討し、養蚕の維持に貢献したい」と話した。 

 スープの開発には、6次産業化を支援する県の補助金を活用した。県蚕糸園芸課の岸篤志課長は「養蚕の幅と厚みを増す取り組みで、養蚕を維持していくためにこうした活動を県としても後押ししていきたい」と話した。