がんの重粒子線治療の効率化に向け、群馬大は日立製作所(東京都)と共同研究を始めることを明らかにした。毎回の治療計画の立案過程などを改善し、1回当たりの治療の時間短縮や精度向上を目指す。重粒子線やその他の放射線の治療実績を人工知能(AI)で解析し、患者一人一人に合った治療の在り方も研究する。

 重粒子線治療は一定期間を空けて腫瘍に重粒子線を10回程度照射する。照射ごとに変わる腫瘍の大きさや内臓の位置などを踏まえて毎回、治療計画を立てる必要があり、準備を含めて1回15~30分程度かかる。共同研究は治療計画の立案過程を分析し、課題を洗い出して短縮を図る。

 同大重粒子線医学推進機構に同大と日立の研究者計14人でつくる「先端粒子線医科学共同研究講座」を設置した。日立は同大の重粒子線装置の保守点検や調整を担当しており、治療する大学と設備を手がける民間企業の知見を組み合わせて、治療の高度化を模索する。

 同機構の花屋実機構長は「重粒子線の利点を最大限活用した安全で先進的な医療技術を開発し、国民福祉に貢献したい」と述べ、日立の菊池秀一ヘルスケアイノベーション事業部長は「治療の可能性を広げ、患者に優しいがん治療を普及させたい」としている。

 同大が持つ装置は国内に7カ所ある重粒子線治療施設のうちの一つ。