青空に映える美喜仁桐生文化会館の大屋根。講演や研修などで利用されるスカイホールなどを載せている
3階部分まで吹き抜けとなっている玄関ホール。天井をガラス張りにして自然光をふんだんに取り入れている
4階ロビーに出てみると、大きなガラス窓の向こうに周辺の山並みや街並みがパノラマ状に広がる
シルクホールの客席の座面は桐生織が張られている。壁面はシルクの光沢を表現した磁器タイルが使われている
小ホール入り口に飾られた桐生市出身のテキスタイル・プランナー、新井淳一さんの作品

 繭の形をイメージした白い大屋根が青空に映える。地上25メートルに据えられた造形物は、遠くから浮遊しているように見える設計だ。1300年の歴史を誇る桐生織物の産地らしさを見事に表現している。

 群馬県桐生市の美喜仁桐生文化会館(市民文化会館)は1997年5月に開館した。老朽化した市産業文化会館改築の構想が持ち上がってから5年余りの歳月を経て、約140億円にも上る大事業だった。

 設計を手掛けたのは坂倉建築研究所(東京都)。近代建築の巨匠、ル・コルビュジエに学び、世界的評価を得た坂倉準三の流れをくむ建築設計事務所である。

 大屋根の上の4階には研修や講演などで活用できるスカイホール(460人収容)、国際会議室などを配置する。ロビーに出ると、大きなガラス窓が並んだ向こうに周辺の山並みや街並みがパノラマ状に広がり、来館者の心を和ませてくれる。

 3階部分まで吹き抜けにした玄関ホール(アトリウム)も圧巻だ。天井をガラス張りにして自然光をふんだんに取り入れ、開放感あふれる空間を演出する。

 公募で名称が決まった「シルクホール」(大ホール)は、織物のまちを感じられる装飾が目を引く。1、2階合わせて最大1517席あり、座面に桐生織が張られている。千鳥配列で前方にいる人の頭が邪魔にならない配慮も。壁面はシルクの光沢を表現した磁器タイルにしている。

 小ホールの床材は旧産業文化会館ホールの舞台に使われていたヒノキ材を再利用。文化活動の拠点としての魂を受け継ぐという思いが込められた。

 館内の随所に展示されたアート作品も見どころだ。小ホール入り口ドアには同市出身の世界的なテキスタイル・プランナー、新井淳一さんの作品がある。テキスタイルでありながら、鉱物結晶の拡大写真のような繊維オブジェをドアガラスに挟み込んでいるという。

 開館から25年がたち、市民に長く親しまれてきた。市文化協会副会長兼事務局長の川井明さん(71)は文化振興を担ってきた施設の価値を評価し、「市民により身近な存在となるような企画をしてほしい」と期待する。

【データ】

・桐生市織姫町2―5

・1997年5月開館

・鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上4階、地下1階。敷地面積約2万8000平方メートル。延べ床面積約1万8200平方メートル

・開館は午前9時~午後10時(火曜休み)