味覚や香りでひと足早い春の訪れを告げる山菜。その一つに「山ウド」がある。本県は全国有数の「山ウド」の産地で、北毛地域を中心にハウス栽培が行われている。独特の風味とシャキシャキとした歯ごたえが魅力で、生のままサラダにして味わうのもよし、天ぷらにしたり、みそ汁の具にしたりと、食べ方は思いのまま。好みの調理法で春の味覚を満喫してほしい。

 関越自動車道・昭和インターから車で傾斜地を上ること10分余り。上越国境の山々が一望できるやや平らな場所に、数棟のビニールハウスが建っている。

 「この辺りは標高が700mあります」と出迎えてくれた角田さん。さっそく山ウドを栽培しているハウスに案内してくれた。長さ50m、幅5mのウナギの寝床のような長大な栽培棟が並ぶ。そのうちの1棟に入ると、全身がウド特有の香りに包まれた。

収穫したウドを袋詰めする角田さん親子

 11月末~12月初めに根株を伏せ込み、新芽を出させる促成栽培。高さ50cmほどの帯状にナラやブナなどの枯れ葉を積み上げた「伏せ床」のあちこちから、新芽が顔をのぞかせている。角田さんが手で葉をかき分けると、太く長く育ったウドが姿を現した。真っ直ぐ伸びた純白の茎が食欲をそそる。

電熱線で温度を調節

 大学を卒業後、技術系の会社に勤めていた角田さんは、農家の長男としての責任を感じ、30歳を過ぎたところで就農を決意した。ウドの栽培は父親の桂一さん(79)が50年ほど前に始めた。

 「以前はこの辺りで100軒ほどが栽培していましたが、多くの農家がホウレンソウやレタスなどに転作、今は15軒に減ってしまいました」と角田さん。父親から受け継いだ栽培法を守り、冬場の収入源として力を注ぐ。

 高品質のウドを作るポイントは、良質の伏せ床作りと温度管理だという。根株の上にもみ殻を2~3cmかぶせ、近くのゴルフ場から集めた落ち葉で厚く覆う。ウドは寒さや暑さに弱いため、ハウス内は常に20度前後に保つよう温度管理に気を使う。「寒い日や夜間は伏せ床に設置した電熱線で温めています」

 収穫は1月から3月末まで。両親やパート従業員の力を借り、長さ50cmほどにそろえて1本ずつ袋に入れ、箱詰めをして「群馬の山ウド」としてJAに出荷。一部を道の駅の農産物直売所で販売している。

お勧めは穂先の天ぷら

 ウドの魅力は、香りとほのかな苦味、歯でかんだ時のシャキシャキ感に加え、食する際の調理法の豊かさだ。生でもよし、煮ても、揚げても、和え物にしてもおいしく食べられる。「毎日、食卓にのせていますが、飽きることはありません」と母親の利子さん(70)。一番のお勧めは穂先の天ぷらだという。

 角田さんはウドのほかに、レタスやキャベツ、トウモロコシの生産に打ち込んでいる。栽培面積は10haと大規模で、ウドの収穫が終わる前にレタスの苗の植え付け作業が始まる。「露地ものは天候に影響されるので、気が抜けません」と角田さん。翌日や週間の天気予報のチェックを怠らない。「やさい王国」と呼ばれる昭和村。「その名に恥じないおいしい作物を消費者に届けたい」と力を込めた。


 

特長

 ウドまたは山ウドはいずれも同じもので、ウコギ科タラノキ属の多年草で、北海道から九州の山野に生えます。茎は太く、短毛があり、高さは1~1.5mになります。「ウドの大木」という言い回しがありますが、同じタラノキ属のタラの木とは違って、ウドは木にはなりません。食用とするのは、若葉、つぼみ、芽および茎の部分で、シャキシャキした歯ごたえと独特の春の香りが好まれます。苦味が多少あるので、好き嫌いがあるようですが、非常に食欲をそそる野菜として親しまれています。

ウドと山ウド

 ウドは本来山菜で、旬の時期には天然物が出回りますが、一般にスーパーなどに並んでいるものはほとんど栽培物です。栽培物には、いわゆる「ウド(軟白ウド)」と「山ウド」がありますが、「軟白ウド」は、日の当たらない地下の室で株に土を盛り暗闇の中で完全に遮光して栽培したもので、モヤシのように茎を白く伸ばして作られ、「山ウド」はある程度日光に当てて葉を緑色にし、根もとは土をかぶせていき軟白にします。旬は3月から5月で春ウドと呼ばれます。

選び方と保存方法

 先の芽がみずみずしく、うぶ毛が密についていて、太くシャキッとまっすぐ伸びているものを選びます。軟白ウドは全体に白いもの、山ウドは短めのものが良質です。保存する際は、陽にあたらないよう湿らせた新聞紙などで包み、冷暗所で保存すると鮮度を保てますが、なるべく早く食べた方がおいしく食べられます。

ウドの機能性

 ウドはポリフェノールの一種で抗酸化性のあるクロロゲン酸を含んでおり、ガンの発生予防や日焼け予防などの効果があると言われています。また、近年機能性が注目されているファルカリンジオールも含んでいます。ファルカリンジオールの機能性の1つに除菌や抗菌性の効果があり、既存ソルビン酸などの保存料よりも低濃度で有効性を示します。さらに、グリコーゲン合成酵素を不活性化して、グルコースの産生抑制する効果があることから、2型糖尿病予防効果が期待されています。アミノ酸の一種であるアスパラギン酸は、体内の新陳代謝を高め、疲労回復効果が期待できます。

豆知識/ウドの食べ方
 ウドの魅力は、穂先から茎、皮まで、捨てるところがほとんどなく、食べられるところ。ウドの持ち味の独特の風味と、シャキシャキした歯触りをうまく生かして料理しましょう。
 太い茎・脇の茎・穂先に切り分けて、穂先は天ぷら、茎はサラダや酢みそあえ、皮は細く切ってきんぴらにするとおいしいです。少しアクがあり褐変しやすいので、生のまま食べる場合は切ってから酢水に10分位さらしておきます。ゆでるときも少し酢を加えるとより白く仕上がります。シャキシャキした食感を残すよう、ゆで過ぎないように注意してください。
春の香りご飯
エネルギー 285kcal / たんぱく質 5.4g / カリウム 106mg / 塩分相当量 0.3g
材料(1人分)
ウド20g、ご飯150g、すし酢小さじ1、卵10g、炒りゴマ適宜
作り方
①ウドは短い拍子木切りにし、酢水にさらし水気をよくとり、すし酢につけておく
②ウドの茎と葉は湯通しし、細かく切り①につける
③ご飯と材料を混ぜ、最後に卵をのせる
信田巻き
エネルギー 136kcal / たんぱく質 6.9g / カリウム 287mg / 塩分相当量 1.4g
材料(1人分)
ウド30g、ニンジン15g、油揚げ1枚、菜の花20g、干ぴょう適宜、だし汁50cc、砂糖・みりん小さじ1、しょうゆ大さじ半分
作り方
①油揚げは熱湯をかけ、3か所切り落とし広げる
②切ったウドとニンジン、菜の花をさっとゆで、油揚げで巻きもどした干ぴょうで結ぶ
③だし汁に調味料を加え、②を煮る