入浴の感想を語る参加者(左)と塚越社長(中)、渡辺代表

 手術痕や脱毛などで入浴施設の利用をためらう人にも温泉を楽しんでもらおうと、女性限定のイベント「乙女温泉」が25日、伊香保温泉(群馬県渋川市)の旅館「塚越屋七兵衛」で開かれた。乳がん治療経験者ら17人が一緒に入浴したり、闘病経験を語り合うなどして交流を深めた。

 参加者は湯上がりに晴れやかな表情を浮かべ、入浴後の交流会では「湯が褐色で入りやすかった。気持ちが慣れてきたら透明な露天風呂にも抵抗なく入れた」との声が上がった。「家族以外の前でウィッグ(かつら)を外したことはなかった。お風呂に入っていいんだとうれしかった」と涙ながらに話す人もいた。

 仕事の合間に駆け付けた小林智美さん(45)=吉岡町=は、初対面の参加者同士で手術痕を見せ合ったといい、「同じ経験をしているからこそ踏み込んだ話もできた。また参加したい」と話していた。

 イベントは、兵庫県を拠点に活動する乳がん治療経験者のコミュニティー「リボンアール」(渡辺愛代表)が主催した。

 休館日を利用して協力した同旅館の塚越左知子社長(55)は「入浴にここまで壁があったのかと衝撃的だった」と話した。年内に2回目を開催する予定。渡辺代表は、同じ目的の人に乙女温泉を“のれん分け”することも考えているといい、「乳がんや困っている人がお風呂に入れる環境が全国で増えればいい」と期待していた。