群馬大医学部附属病院小児科 大津 義晃さん 群馬大医学部附属病院小児科 大津 義晃さん

 成人の肥満に移行しやすい「小児肥満」は、将来的に生活習慣病の大きなリスクとなる。本県は全国の中でも肥満の子どもが多く、早期に指導を行い、対策を講じていくことが重要だ。群馬大医学部附属病院小児科の大津義晃さんは「健康寿命を延ばすためにも、太り始めたと感じたら食事や運動などの生活習慣を見直し、小学生のうちに改善することが必要」と強調する。

10人に1人が肥満

 多くの脂肪が体に蓄積された状態が肥満です。一般的に15歳までの成長段階にある子どもの肥満を小児肥満といいます。標準体重に対して実測体重が何%多いかを示す肥満度で、20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満と分類しています。標準体重は性別、身長別、年齢別に設定されています。

 全国の15歳未満の子どものうち、軽度肥満以上は10人に1人、高度肥満は100人に1人います。県内は男女ともほぼ全年齢で肥満割合が全国平均を上回っています。

 40年ほど前より肥満の子どもは2、3倍増加していますが、ここ10年は高止まりしています。最近の特徴は、都市部で痩せ、山間部などの地方で肥満が増加しています。県内では前橋や高崎と比べ、利根沼田や吾妻地域に肥満の子どもが増えています。山間部ではスクールバスの通学が増え、学校まで歩かないことなどが理由と考えられています。

生活習慣に起因

 食べ過ぎや運動不足により、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで肥満になります。遺伝性や後天的な疾患が原因の場合もありますが、ほとんどが生活習慣に起因しています。

 原因として、食事の量が多いほか、お菓子やジュースなどの間食が多い、外で遊ばないでゲームをするなど体を動かす機会が少ないことが挙げられます。

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛で、家にいる時間が長くなった分、食べ過ぎや運動不足に陥りやすく、急に体重が増加する子どもが多くなったともいわれています。

成人後の影響大

 成人になってから痩せても、小児肥満で進行した動脈硬化は成人後に大きな影響が出ます。心筋梗塞や脳梗塞といった大血管障害をはじめ、糖尿病や脂質代謝異常症、関節異常などさまざまな疾患の発症リスクが高まります。専門的な研究では、成人になってから太った人よりもリスクが高いことが明らかになっています。

 さらに、小児肥満のうち1%は、生活習慣が関わる2型糖尿病を発症しています。20、30代で人工透析や失明につながる可能性もあります。また、子ども特有の問題として、学校内で体型によるいじめにつながることもあります。

 体格指数(BMI)が、いったん幼児期に減少して小学校入学頃に再び増加する変化を「アディポシティリバウンド」といい、BMIが3歳以前から増加すると、将来肥満になる可能性が高いことが分かっています。早期発見につなげるため、今後3歳児検診で同変化の検査を導入することも必要だと考えています。

 早寝早起きをし、生活リズムを整えることが第一歩です。1日3食、野菜を中心にバランスの良い食事を取ることが大切です。コロナ禍でも庭でできる縄跳びや、家の掃除といった手伝いを通して、日常生活で体を動かす工夫をして改善していきましょう。

 間食は減らし、1日3食、特に朝食はしっかり取っています。家族で食卓を囲み、冬の季節では根菜類がたっぷり入ったみそ汁を食べ、必ず野菜を取り入れたバランスの良い食事を心掛けています。休日は仕事を忘れ、公園で子どもと遊ぶなどして体を動かし、ストレスを解消しています。(大津)