在学中、肩こりと頭痛、寝違え、腰痛に悩んでいました。国家試験の合格を目指して朝から晩まで必死に勉強していたので、それが原因の一つだったと思います。

 ストレス発散に暴飲暴食もしていました。最悪なことに十二指腸潰瘍にもなってしまいました。このままではいけないと、生活習慣を見直しました。いろいろと試した結果、自分に必要だったのは「養生」でした。

 養生とは「健康を自己管理するすべ」です。持病を抱えながらも元気で長生きできると、大養生となります。

 養生には主に「温める」「緩める」「鍛える」「補う」「整える」という五つの要素があります。日常生活のシーンを例に、お薦めの実践法を挙げます。

 「温」は、入浴をシャワーで済ませるよりも風呂に漬かった方が疲れが取れます。「緩」では、寝る前のストレッチで寝起きが楽になります。「鍛」は姿勢や動作に気を付けると、痛みが軽減されます。「補」で注意したいのは過食です。ストレス発散ではなく、ため込みになってしまいます。「整」は、思い切って寝る時間と起きる時間を決めると、すっきり目が覚めるようになります。

 最も重要なのは「補」だと考えています。栄養は単なるエネルギー源ではなく、精神面の源にもなっているからです。また、「補う」には「正しい知識を身に付ける」という意味も含まれます。

 私の場合、体の状態と養生法を知ることで症状が改善しました。

 病院の検査で寝違えと腰痛に関連する疾患を指摘されました。重度の視力障害、変形性頚椎(けいつい)症、反り腰です。目が見えていた頃、のぞき込むように専門書を見るくせがありました。視力の影響で長年、極端に姿勢が悪い生活を送ってきたため、背骨が病的に曲がってしまったのです。

 まず、飲み薬や湿布を試しました。その間つらかったのは下痢や皮膚かぶれでした。夏休み中、鍼灸(しんきゅう)院を営んでいた祖父母に施術してもらいました。はりの優しい刺激とお灸の香り、手のぬくもりがとても心地よかったです。

 治療を受けて終わり、ではありませんでした。その場で症状が良くなっても、繰り返してしまったら意味がありません。大切なのは生活習慣を見直して痛みや不調を自分でコントロールできるようになることだと教わりました。おかげで、薬にほとんど頼らずに生き生きとした生活が送れています。

 皆さんも体の状態に気を配り、できるだけ自然で健康な状態を目指しませんか。

 私は4月、健康的な生活を応援していくため、念願だった自分の施術所を開設しました。視力の障害があっても、やりたいことやなりたい自分を実現する。その夢の一つがかないました。

 【略歴】生まれつき弱視で高校卒業後、筑波大付属視覚特別支援学校入学。理学療法士などの国家資格を取得、鍼灸・整体院叶Kanae院長。高崎市(旧新町)出身。

2022/5/1掲載