新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、厚生労働省は時限的・特例的な対応として、初診患者でも電話やオンラインによる診療を可能とした。県内では300を超える医療機関が対応しており、厚生労働省や県のホームページで情報を公開している。感染予防で受診控えをしている人が多いとされる中、スマートフォンやタブレットの画面を通して医師が患者を診察する「オンライン診療」を実施している県内の医療機関や関係団体に、診療状況や今後の期待について聞いた。

テレビ電話を介して行うオンライン診療。音質も良く、画像も鮮明=こばやし小児科内科医院(太田市)

対面診療と同様

 2017年からオンライン診療を始めている「こばやし小児科内科医院」(太田市)は、仕事や家事で来院できない人や、高齢やけがで移動が困難な人が受診できるように取り入れた。

 高血圧や糖尿病などの生活習慣病や花粉症などのアレルギー疾患を診察。新型コロナウイルス感染拡大以前と比べ、家族のサポートで高齢者の利用が増えて2、3倍の患者がオンライン診療を活用している。

 対面と同様な診察ができるという。画面で顔色や扁桃へんとう腺の腫れ、患者の息づかいを確認でき、患部を触り伝えてもらうことである程度の診断がつくという。

 同医院の喜多村一孝医師は「情報量の制限はあるが、感染予防としてこれ以上良い診療方法はない。今後、酸素飽和度の測定や口腔(こうくう)内を診察するアプリ開発などが進めば、さらに対面診療に近づく」と期待する。

車内で受診も

 昨年10月に開院した静内科(高崎市)は、オンライン診療のほか、ドライブスルー診療も行っている。当初はドライブスルーでの受付だけだったが、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され始めた2月から、受付時にタブレットを貸し出し、車内で診療を受けられる体制を整えた。

 感染予防のため、タブレットはファスナー付きビニール袋に入れて渡し、車内で画面を通して診療を行う。聴診や採血などが必要な場合は、すぐに対面診療が可能だ。発熱や風邪症状は新型コロナウイルスの疑いもあるため、防塵じんマスクや手袋、感染症用エプロンを着て患者の車まで行き、窓を開けて診察している。

 静毅人院長は「ウェブ問診を行っているが、初診の場合、事前にお薬手帳など今までの受診情報を提供してもらうことでスムーズに診察ができる」と呼び掛けている。

ドライブスルーでの受付窓口。車内でタブレットを使った診療もできる=静内科(高崎市)

第4の診療形態へ

 高崎健康福祉大に日本遠隔医療学会の事務局がある。同学会事務局長の東福寺幾夫さんがオンライン診療について話した。

日本遠隔医療学会事務局長 東福寺 幾夫さん

―遠隔医療とは。

 通信技術を活用して離れた2地点間で行われる医療活動全体のことを言います。当初は、遠隔で病理診断や画像診断する主治医と専門医間での医療行為でしたが、通信技術の発達で、テレビ電話を介してリアルタイムで医師が患者を診察する遠隔診療(オンライン診療)ができるようになりました。

―特例的に初診でもオンライン診療が可能となりました。

 受診控えを少しでも打開するための例外的な措置です。紹介状による転院での初診ならまだしも、面識のない診療は、医師も患者も不安だと思います。

―メリット、注意点は。

 メリットとして、移動も待ち時間もなく、画面から患者の生活状況も分かる。日々の体温や血圧などモニターで把握できるようになると、診療の質も高まると思います。注意点としては、表情が分かるように逆光を避け、症状が安定しない時や変化した時は、対面診療を受けてください。

―普及するためには。

 オンライン診療は保険診療として認められましたが、一般の外来診療と比べて点数が低い。せめて外来と同程度の診療報酬に改定しないと、さらなる普及は難しいと思います。

―今後の展望は。

 対面とうまく組み合わせた診療が必要です。まだまだ事例を積み上げていく段階ですが、外来、入院、訪問に次ぐ第4の診療形態になると思います。