▼中之条町の山あいの道を車で走ると、巨大なカマキリが目に飛び込んできた。町全体を会場として開催中の国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ」の出品作である

 ▼作家125組が屋外や空き店舗など約40カ所で公開している。新型コロナウイルス感染症対策で海外作家は来日せず、地元スタッフにリモートで指示しながら制作した。国内作家は事前調査で滞在できずオンラインで町の雰囲気をつかんだ

 ▼他者の知覚に委ねながら制作することから、今回のテーマは「パラパーセプション―知覚の向こうから」とした。総合ディレクターの山重徹夫さんは「一人が思考できる領域は限られるが、他人の知覚で拡張された思考の作品が生まれた」と話す

 ▼2年ごとに開かれ今年で8回目。出展作家は初回から町内の小中学生と連携した作品づくりも手掛け、子どもは関わった作品展示に誇らしげだ

 ▼農家が軽トラックで展示会場を巡る光景も地域に根付いてきた証しだろう。芸術鑑賞は美術館で静かに味わうものとは限らない。芸術の知識に乏しくても作品が目に入れば話題にしたくなる

 ▼冒頭に紹介した作品は「カマキリの食卓」。食卓に向かい何かを食べようとしている姿を見て、作家の意図を考えた。コロナ社会を反映したパフォーマンスも印象深い。音や映像、子どもが楽しめる会場もあり芸術の幅広さが感じられる。会期は11月14日まで。