▼こんな頼もしい仲間が、礼儀正しい息子がいたら―。時に多くの人が理想像を重ねた33歳の決断に、女優の水野真紀さんがブログで言葉を贈っている。「真面目で、優しそうで、頭が良くて、運動神経が良くて」「『理想の息子』の夢を見させてくれてありがとう」

 ▼プロ野球日本ハムの斎藤佑樹投手(太田生品中出身)が今季限りの現役引退を表明した。目に焼きついているのは東京・早実高3年だった2006年夏の甲子園決勝。北海道・駒大苫小牧高の田中将大投手(楽天)と投げ合い、引き分け再試合の末に初優勝した

 ▼大会で948球を1人投げ抜いた。だが、人々の心に残ったのは昭和のスポ根的な泥臭さでなく、マウンド上、青いハンカチで汗を拭う爽やかな好青年の姿ではなかったか。「ハンカチ王子」は社会現象になった

 ▼早大進学後は野球部の第100代主将を務め、東京六大学史上6人目の通算30勝300奪三振を達成する。そこまでは順風満帆。プロ入り後の11年は故障に苦しんだ

 ▼プロ通算15勝26敗。まぶしすぎる経歴からすれば満足な結果ではなかったろう。それでも昨季から登板のない投手の引退をメディアは破格の扱いで報じた。「記憶に残る選手」という意味では今も間違いなくスターだ

 ▼きょうのオリックス戦に引退試合として登板する予定という。最後のマウンドに立つ理想の男を、あの夏のように目に焼き付けたい。