ウクライナ侵攻について思う亀山。「情報戦争で善悪、真偽の境界が完全に揺らいだ」=4月下旬、都内 ウクライナ侵攻について思う亀山。「情報戦争で善悪、真偽の境界が完全に揺らいだ」=4月下旬、都内

 ロシア文学者の亀山郁夫(73)は、ウクライナ侵攻の遠因をロシア人の精神性に見る。

 ―ロシア人の気質は。

 革命があり、旧ソ連崩壊があり、好戦意識が高いと思われがちだが、基本的にはロシア正教が支柱で、ものすごく柔和で、情愛にあふれる。

 あのまったりとした国土と同じ。仰ぐものは地平線と空しかない。天と地。そうした空間に彼らの精神はある。自分たちが自由なら、モスクワが何をしようが関係ない。豊かな自然の中で大地を愛(め)でて、信仰に生きている。政治に対しては無関心。汚らわしいとさえ思っている。

 ―プロパガンダで侵攻や虐殺の事実を知らない、との指摘もある。

 知っているはずです。お年寄りも若者から聞いて。それでも「恐ろしい」と思うくらいで、それ以上は行動しない。

 自分の生命を守ろうという本能的な警戒感や恐怖心が欠けていて、他人の唯一性に関心がない。全てを運命と捉え、諦めてしまう運命論者。成り行き任せで、勝負はばくち。結果は恩寵(おんちょう)か、偶然の戯れということになる。(ソ連側で2700万人の死者を出した第2次世界大戦の)独ソ戦も、それが土台。西側の人権感覚とは全然違う。

 (プーチン政権の)支持率80%も、国民が正しいと賛同しているわけじゃない。無関心だからです。...