視覚障害の原因疾患で最も多く、4分の1以上を占めるのが「緑内障」だ。年齢が上がるにつれてリスクが高まるため、高齢化に伴い、罹患(りかん)者数は増加傾向になっている。まれではあるが、治療が遅れると最悪の場合、失明につながる恐れもある。利根中央病院眼科医長の高橋宙さんは「リスクが高くなる40歳以上の方は検査を受けて早期発見、早期治療に努めてほしい」と呼び掛ける。

視野が欠ける

 緑内障は、視覚情報を脳に伝える視神経が傷み、視野(見える範囲)が徐々に欠ける病気です。視覚障害の28.6%(2015年)に当たり、40歳以上の20人に1人、70歳以上の10人に1人が発症しています。

 

 眼めの中では房水ぼうすいという液体が循環し、眼圧(眼の硬さ)を調節しています。眼圧の正常値10~21ミリメートルHg(水銀柱)を超えるとリスクが高まります。房水の排出の異常で眼圧が高くなり、視神経を傷めます。

 角膜と虹彩に挟まれた隅角(ぐうかく)の先にある房水の排出口のフィルターの役割を担う線維柱帯(ちゅうたい)が目詰まりを起こすなどの「開放隅角緑内障」と、隅角が狭い「閉塞隅角緑内障」に大別され、眼圧が上がります。実際には眼圧が高くないのに緑内障性の視神経障害をきたす「正常眼圧緑内障」が日本人に多く、緑内障全体の7割を占めています。眼圧に対する抵抗力が弱いと考えられ、数年から数十年かけて緩やかに進行します。

 高血圧や糖尿病などによる動脈硬化や、睡眠時無呼吸症候群などで血中の酸素飽和度が低いとリスクが高まります。また、遺伝する傾向があるため、家族に緑内障の病歴がある場合は、特に注意が必要です。

初期では気付かない

 閉塞隅角緑内障は発作的な症状をきたすことがありますが、多くの発症原因となる開放隅角緑内障は初期症状がなく、自覚した時にはかなり進行しています。視野が欠けた部分を脳で補完するため、多少の異常では気付かないのです。

 開放隅角緑内障の治療は、点眼で房水の産生を抑えたり、排出を促進したりして眼圧を下げるのが基本です。複数の点眼をしても進行する場合は、眼圧を下げる手術を行います。

 閉塞隅角緑内障では、水晶体(レンズ)を人工の眼内レンズに置き換える白内障手術をすると隅角が広がり、房水が排出されやすくなることで眼圧が安定します。

進行を抑えるのみ

 白内障は手術で視力が回復しますが、緑内障は進行を抑えることしかできません。そのため、早期発見、早期治療が重要です。眼圧測定のほか、視神経の異常を調べる眼底検査があります。発症が増える40歳を過ぎたら検査を受けるよう心掛けてください。

 自宅で視野欠損を調べる方法があります。紙の中心より外側に1、2ミリの小さな点をいくつか描き、紙の中心を片目で見続けながらゆっくり回します。点が見えない時があれば緑内障の疑いがあります。インターネットで同様のセルフチェックもできます。

 明確な予防法はありませんが、運動の習慣はリスクを下げると言われています。週3、4回30分程度のウオーキングやランニングなどの有酸素運動を心掛けてください。

 

 眼の診療をしていると血管を良好な状態に保つことがとても大事だと感じます。そのため、抗酸化作用のある栄養素を含む緑黄色野菜を積極的に摂取しています。また、魚や肉、納豆や豆腐のみそ汁などの大豆製品から意識的にタンパク質を取るようにして適正体重の維持に努めています。(高橋)