子育て世帯を支援するため、医療費を18歳になった年度末まで無料化する動きが群馬県内で広がっている。本年度に入り、下仁田、甘楽の両町が高校生世代の医療費を無料化し、富岡市は入院費に限って導入した。入院費のみとしてきた前橋市は4月から、通院費も含めた対応に踏み切った。現段階で、通院・入院が9市町村、入院のみは8市町となっている。手厚い支援は移住の促進に加え、他自治体への人口流出抑制につながることが期待される。

 群馬県では、子育て世帯の負担の軽減や、子どもたちが安心して必要な医療を受けられるように2009年から県が主導し、中学校卒業までの子どもの医療費が無料となっている。県によると、所得制限などを設けず、中学生以下の医療費が県内全域で無料なのは、全国で群馬県のみという。

 中学生以下を無料とする運営では、国民健康保険や社会保険などが適用された後の自己負担分を、県と市町村が半額ずつ補っている。一方、高校生世代の場合に県の補助はなく、保護者らが窓口で支払う費用を市町村が全額負担するため、自治体によって導入に差が出ている。

 県内では13年に上野村が初めて導入。村内の対象者は現在10人ほどで年間18万円の予算を想定しており、村は「制度が周知されてきた。住民からはとても好評」と説明する。大泉町は町民税非課税世帯の高校生世代の医療費を18年に無料化した。本年度の予算は60万円で対象者は5人という。

 下仁田町は移住促進、子育て支援、福祉の充実を掲げる。対象者を100人程度とし、200万円の予算を充てた。入院費のみ無料とした富岡市は対象者が約1300人で、約180万円の予算を計上している。

 前橋市は昨年度、入院費の無料化を先行的に開始した。対象となる高校生世代は約8800人。本年度は1億5000万円に増額し、通院費用も無料化した。

 子育て世帯への負担軽減策が広がる中で、4月の安中市長選で初当選した岩井均氏は「高校生までの医療費無料化」を公約に掲げており、同市での取り組みも注目される。

 一方、自治体間に対応の差が生じていることに不満の声も上がる。高崎市の女性(50)は「子どもの医療体制に差をつけないでほしい」と訴える。高校3年生の長女が体調を崩した際、家計に響くことを気にして親に言い出せなかったことがあるという。

 高校1年生の長女に持病があるという富岡市の男性(50)は「(中学生までの)無料期間中の3月末に駆け込みで診察に連れて行った。18歳の年度末まで医療費無料であれば、娘も安心して通院できる」と行政に期待した。