「人生100年時代」と言われています。確かに医学の進歩や環境の変化で、現役感あふれる70代、80代の方が増えたように感じます。

 私が主宰する民謡「梅頌会」も高齢の方が大勢、稽古に来てくれています。皆さん、とにかく元気で明るい。稽古に行くという目標がしっかりあって、その日に向けて練習し、体調を整え、おしゃれをして師匠宅へ行く。そしておしゃべりできる仲間がいて、師匠の大声につられ、思い切り大きな声でうたえる。おなかはすくし、食事もおいしい。気力と集中力、持続力を維持するのは大変ですが。

 手前みそながら、民謡や三味線の稽古は老化対策にうってつけだと思っています。ときめきや好奇心、うれしさ、悲しさといった感情の感覚をつかさどる前頭葉の萎縮を遅らせると信じています。

 高齢になるにつれ、若い頃にできたことができなくなることもあるでしょう。気持ちが沈むこともあるかもしれません。しかし、それはそれで受け止め、それすら楽しめたら良いですね。人と人との関わりを止めてはいけません。自分なりのやる気をうまく引き出しましょう。

 4月に会の発表会を開催しました。初めての試みとして会員それぞれに民謡と三味線以外の趣味を尋ね、「皆さんの前で披露しましょう」と提案しました。オカリナ演奏にお箏の弾き語り、艶やかな日本舞踊、新内三味線と口説き節も飛び出し、会場は温かい空気に包まれました。特に最高齢90歳の女性のフラダンスは最高でした。次回の発表会は、音楽以外の趣味を楽しんでいる方たちの絵画や写真、手芸などを展示しようと考えています。

 以前、発表会で1人20分の持ち時間で「あなたが主役」と題して会員のミニコンサートを開催したことがあります。タイトルも内容も全て自分で決めるのがルール。皆、自分の得意分野をアピールすることに一生懸命でした。「違う趣味の成果を披露する仲間の姿に大いに刺激を受けました」と話す方が大勢いました。中には「今まで習った民謡を振り返り、全てうたいたい。この曲をうたうとあの時代を思い出します」と言う方もいました。人生を振り返り、懐かしく思う気持ちも楽しみたいものです。

 何事も「これで終わり」と思わずに、とにかく動き続けること、楽しみ続けることが大切だと考えます。

 隣の長野県は「長寿県」として知られています。厚生労働省が5年ごとに作成する都道府県別の生命表で、平均寿命が2010年は男女ともトップ、15年も女性1位、男性2位だったようです。65歳以上の有業率も男女とも1位(17年10月時点)で、こうしたことが関係しているのでしょうか。

 人生100年時代。生きがいを持ち、健康で年を重ねたいものです。

 【略歴】民謡「梅頌会」会主。日本の伝統楽器である三味線、尺八、民謡を伝承普及しようと、国内外で演奏活動を展開している。奈良県出身。近畿大卒。

2022/5/12掲載