▼万葉集で本県を詠んだ東歌25首のうち、9首に「伊香保」の名が登場する。榛名山全体を指していたようだが、古くからこの地が人々の生活や喜怒哀楽と共にあったことがうかがえる

 ▼江戸時代より多くの文人墨客が滞在した伊香保温泉は、明治以降も歌人の与謝野晶子らが訪れ、作品のモチーフになった。現在、伊香保を愛した徳冨蘆花の記念文学館や竹久夢二伊香保記念館など、周辺に多くの芸術関連施設が点在する

 ▼新たな“仲間”が先月、吉岡町上野田の県道前橋伊香保線沿いに加わった。マイルス・デイビスら世界的な演奏者の写真などを紹介する「ワールド・ジャズ・ミュージアム21」。都内から榛東村に移住した音楽写真家、菅原光博さん(73)が中心となって企画した

 ▼専門誌「スイングジャーナル」などで活躍した菅原さん。「生き方を学んだ音楽への恩返し」として、仲間の音楽写真家と共に昨年末、期間限定で企画展を開き、今春の開館につなげた

 ▼年末まで毎月展示を変え、演奏会も定期的に開く。東日本大震災復興支援の慈善企画を計画するほか、「ウクライナ戦火被災復興支援」も掲げた。音楽に携わる立場として、戦争反対の意思を示す狙いがある

 ▼ロシアの侵攻で民主的価値観や国際秩序が脅かされる中、アーティストの写真を味わうことで平和の大切さをかみしめ、いかに平和を実現・維持するか考える機会にしたい。