手術後に患者が相次いで死亡していたことが2014年に発覚し、内容を縮小していた 腹腔ふくくう鏡手術について、群馬大医学部付属病院(前橋市)は、組織改革や手術実績の積み重ねを踏まえ、肝臓の比較的大きな部分や すい臓の一部を切除する高難度手術を導入するなど、段階的に拡大していることを明らかにした。

 同病院によると、15年以降、自主的な制限として腹腔鏡手術による肝臓の切除は「部分」か「外側区域」のみとしてきたが、20年から範囲を広げ、21年に半分程度にあたる「左葉」まで拡大した。膵臓についても「膵体尾部」と呼ばれる部分のがんの切除などを始めている。いずれも県内ではほとんど行われていない高難度の手術という。

 腹腔鏡手術は傷口が小さく、身体への負担が少ないとされる。切除範囲の拡大により、開腹手術をしなくても対応できる症例が多くなる。16日、県庁で開いた会見で、肝胆膵外科教授の 調憲しらべけん外科診療センター長は「国のガイドラインを厳守し、慎重に提供できる医療を拡大してきた。安全で高度な医療を提供することが、患者の負担軽減につながる」と強調した。

 同病院は14年の問題発覚を受け、15年に高度な医療を提供する国の「特定機能病院」を取り消された。肝胆膵外科は自主的な制限として、同科の腹腔鏡手術を比較的難易度が低い治療だけに縮小。組織改革や他病院への見学、献体での手術研修、患者参加型医療推進委員会への説明などの改善に取り組んだ。

 こうした取り組みなどにより、19年に特定機能病院に再承認された。20年には肝切除の腹腔鏡手術実績が100件が突破。民間学会の技術認定も新たに取得したため、手術内容を段階的に拡大し始めたという。

 調センター長は、15年11月から昨年末までに同科が担当した624例の手術のうち、術後90日以内で死亡した人はいなかったことを強調。「全国データと比較しても、安全に手術ができている」とした。斎藤繁院長も会見で「問題発覚後、医療の進歩に遅れてしまっていた群馬大の医療が、同等程度に追いついてきた」とした。