閉鎖された嬬恋橋=16日午後5時ごろ

 群馬県嬬恋村の国道144号嬬恋橋の橋台近くの岩盤が崩落し、橋が全面通行止めとなってから17日で1週間となる。周辺に役場や学校がある村の中心部の道路が利用できず、通学など住民生活に影響が出ている。橋周辺の店舗の売り上げや村民の命に関わる消防、救急への打撃も避けられず、一日も早い復旧を求める声が上がっている。

 県中之条土木事務所によると、8日未明、高さ29メートルほどの岩盤が崩落した。2019年の台風19号などで岩盤を支えていた土砂が流出し、安定性が低下していた可能性があるという。橋は村役場と嬬恋西部小がある大前地区と嬬恋中がある大笹地区を結んでおり、10日から通行止めになった。長さ106メートルの橋の対岸へ行くのに、車で約20分かかる約14キロの迂回(うかい)路を利用する必要がある。

 このため、通学や買い物に影響が出ている。両校は橋を利用していた徒歩通学の児童生徒向けにスクールバスの送迎を始めたが、登下校にかかる時間は従来より長くなった。橋近くの自宅から対岸のスーパーに徒歩で出かけていた大久保悟さん(61)は車の運転に慣れておらず、現在は対岸に行きづらい状態という。「橋は村の大動脈。早く開通してほしい」と話した。

 橋近くのコンビニエンスストアも車が迂回路に向かうようになって来店客が激減し、打撃を受けている。男性店主(55)は「売り上げの落ち込みはひどい。やっていける状態ではない」と声を落とす。「仕入れ量を減らして対応しているが、1カ月続けば限界」と打ち明けた。

 村全域をカバーする吾妻広域消防本部嬬恋分署は通行止め決定後、迅速さと安全性を踏まえた独自の迂回ルートを急きょ決めた。ただ、「一分一秒を争う消防救急で、主要道が使えないのは痛手」と漏らす。

 一方、村の特産品であるキャベツの出荷について、JA嬬恋村は「大きな混乱は生じないと考えている」と話す。台風19号の際も迂回が必要だったことから「農家の方々は経験済みで対応できると思う」とした。

 復旧に向け、中之条土木事務所は当面、これ以上の崩落を防ぐための仮の措置を講じる予定。現場は危険性が高く、安全に近づくための道の整備を急ピッチで進めている。復旧時期は未定といい、「利用者には大変な迷惑をおかけしている。安全を確保しながら、一日も早い復旧を目指す」としている。