明治館2階から運び出されるピアノ

 群馬県伊勢崎市曲輪町の市指定重要文化財「いせさき明治館」に眠っていた1955年製アップライトピアノをよみがえらせ、JR伊勢崎駅構内に市民が気軽に弾ける「伊勢崎駅ピアノ」として置く計画が動きだした。楽器を所有する市とピアノ会社、運用を担う市民団体が連携し、7月にお披露目する。修繕に向け、17日にピアノを明治館2階から運び出す作業が行われた。

 明治館は明治時代に建造され、現存する県内最古の2階建て洋風医院建築物。2002年に所有者から市に寄贈された。その際にピアノも含まれていたが、これまで弾かれることはなく、現在は劣化や部品の欠損などが目立ち、本来の音色が響かない状態という。

 修繕を担当するピアノプラザ群馬(高崎市)によると、ピアノは現存する国内ピアノメーカーとして3番目に古い歴史を持つシュベスター製。表現力に優れた音色に定評があり、熱烈なファンも多い。

 ピアノの活用は、市内で音楽イベントなどを開いている市民団体「伊勢崎音楽の一日プロジェクト」を中心に企画。「市の玄関口である伊勢崎駅を音楽で彩りたい」という関係者の思いが一致して始動した。7月13日に駅の自由通路に設置し、16日にお披露目会を開いて一般利用を始める。

 修繕費はピアノプラザ群馬が、いせさき店(宮子町)の開店20周年を記念して負担する。中森隆利社長(77)はJR両毛線の高崎、前橋、桐生の各駅に既にピアノがあることから「両毛線がピアノでつながる。駅ピアノのファンが県外からも来てくれるだろう」と修繕に意欲を見せている。

 17日は明治館2階からピアノをクレーンでつるし、トラックで運び出した。運搬費や修理後のラッピング費用は市が負担する。市民団体の石原明美代表(45)は「地元の駅にもピアノが欲しかった。市民としてうれしい」と話し、復活を楽しみにしていた。