ワシントン大学法療育プログラムは米・JFK時代の障害児教育の充実政策に端を発し、ダウン症の早期療育プログラムとしての試みが同大の研究者グループで始まりました。日本では1983年以降、大阪市立大学の高井俊夫名誉教授(故人)を中心とした研究グループが試み始めました。

 高井先生に赤ちゃんマッサージの指導を受け「親こそ最大の療育者」と言われたことが強く心に残りました。「教育は家庭で」「指導は指導者から十分に指導の訓練を受けた養育者の手で」がワシントン大学法の特徴の一つです。

 このことは、周囲の関わりを得て「地域社会の中で育てる」という私たちの思いに沿うものでした。娘の成長には友達が必要であることと、親の関わりだけでできることの限界を感じ、体験保育を経て2歳10カ月の時に希望した保育園に中途入園しました。保育園は働く親にとって必要な場所で、子どもにとっても成長できる環境であり、子ども自身の力を発揮できる場であると言えます。

 障がいがあっても0~2歳は心と体の基礎をつくる大切な時期です。他者を意識する力を引き出し、大人と遊びをたくさん経験して人と遊ぶのは楽しいという気持ちを育みます。

 3~5歳には健常児と同じ勢いで人とやりとりする楽しさを感じ、友達との遊びを楽しめるようになります。遊びには始まりと終わりがあることを理解し、その達成感がやがて物事の興味につながります。

 娘は1歳下のクラスで過ごしました。自分の力で活動できる可能性があり、聞き取れる言葉の量や絵本の理解、集団遊びも娘には分かりやすく、楽しむことができました。生活面では保育園と同じ食器や制作用の粘土、はさみを家で使い、手遊びや体を使うリズム遊びが友達とできるようにと、家でたくさん練習をしました。

 6歳になると年長組に入り、就学を意識した関わりが始まりました。就学に向けての対応は、障がいの有無に関係なく、親としてわが子の発達に興味を持ち頑張れる時期ではないでしょうか。

 秋になり、娘は就学前健診を健常の子らと同じように6年生の付き添いで受けることができました。ひらがなの読み書きができ、数は50まで言え、「10ちょうだい」と言われれば10個渡すことができ、針と糸を使って直線を縫えました。娘は普通学級と判定され、小学校生活をスタートさせました。

 ワシントン大学法は行動理論によって進められ、健康な乳幼児の心身の発達過程に沿っています。各種の発達障害児、健常児にも適用できると考えられていました。そのため、保育園選びと子どもの発達を引き出す療育者の関わりは、子どもの成長を促す上で必須の要素だと言えます。

 【略歴】1988年にダウン症親の会を発足し、会長に就任。2001年から相談員として活動。子育てに関する勉強会や発達に応じた遊びの指導などを行っている。

2022/5/19掲載