民事裁判の提訴から判決まで全ての手続きをオンラインで可能にする改正民事訴訟法などが18日、成立した。前橋地裁でも既に電子化は進み、前橋市の本庁は2020年12月から裁判官が原告・被告側との「争点整理手続き」にウェブ会議を導入、3月までに延べ1130回実施した。代理人弁護士は法廷に出向く必要がなくなり、裁判官は期日を調整しやすくなったと合理化を実感している。23日に高崎、太田、7月に桐生、沼田の各支部でも始まり、管内全支部に広がる予定だ。

 同地裁によると、ウェブ会議はマイクロソフト社の会議システム「チームズ」を使って行う。法廷では裁判官がパソコンを操作し、原告側や被告側の弁護士事務所のリアルタイム映像を大型画面や各自の端末に表示して進める。

 裁判官は双方の通信状況や進め方に納得しているかを確かめながら、証拠の提出予定、和解の意向などを聞き取る。画面共有機能で相続関係などを図示して認識を一致させたり、チャット機能で次回期日を書き残したりすることもあるという。

 ウェブ会議による争点整理は1日5回ほどの頻度に増えている。民事訴訟を担当する田中芳樹・部総括判事は「前より次回期日が決まりやすくなった」と手応えを語る。従来の遠隔通信手段の一つだった電話会議よりも相手の表情から理解度を察しやすく、資料の画面共有や身ぶり手ぶりを交えることで意思疎通が円滑になったと指摘する。

 弁護士がうまく接続できない時や電子機器に疎い場合は、電話会議と使い分けている。コロナ下で比較的近隣にいる弁護士から密を避けたいと要望があり、あえてウェブ会議を選んだこともある。田中判事は「手続きの内容や当事者の意向を踏まえてフレキシブルに決めている」と述べた。

 ウェブ会議にも検討すべき課題はある。現在は安定的な運用のためとして弁護士事務所と裁判所をつなぐ場合に使われており、弁護士を介さない本人訴訟では実例がない。

 また、争点整理は原則非公開のため、接続先の弁護士の事務所内で無関係の人が聞いていないかなどを裁判官が口頭で確かめている。ただ、実際に録音や録画をしていないか断定することは難しく、信頼関係で成り立っている面もあるという。