厚生労働省が2020年に発表した「19年国民生活基礎調査」によると、子ども(17歳以下)の約7人に1人が貧困状態にあるという。

 こうした状況に追い打ちをかけるように、新型コロナウイルス感染症の拡大が子どもたちを取り巻く環境をより厳しいものへと変えてしまった。「今日のご飯は手に入れられたけれど、明日の分はない。そんな日々が2年以上続いている」。そう打ち明けた2児の母親もいた。

 私は5年前から、貧困などの理由で学習の機会に恵まれない子どもたちを対象とした学習支援やレクリエーションなどの交流活動に取り組んでいる。当時、同様の活動はあまり見られなかったが、最近は教育格差の解消に向けて、多くの地域で学習支援が行われるようになってきた。

 しかし、単純な学習支援を行うだけで、子どもたちの教育格差を埋めることはできるだろうか。

 これまでの教育では、知識をインプットすることに重きが置かれていたが、時代の変化に伴い、経験を通した学びやアウトプットによる学習が重要視されるようになってきた。実際、本県の高校入試でも、24年度入学者選抜から学内外での活動の経験などが評価の一つとして追加されることが決まっている。学校においても、アウトプット型の学習を意識したカリキュラムへの置き換えが進められているが、学びにつながる全ての経験を学校教育の中だけで補うのは難しいだろう。

 子どもは生まれた瞬間から、家庭内でのさまざまな経験を通して多くのことを学んでいる。私は、家族との関わりや家庭でのイベントなど、学校内では体験できない経験が子どもの生き抜く力を育てる大きな要素であると考えている。

 先に挙げた、貧困家庭の子どもたちについて言えば、多様な経験を積む機会が少ないという現状がある。私が関わっている子どもたちに尋ねても、キャンプなどの課外活動をしたことがある子は少ない。経験を通した学びを重要視するこれからの時代において、さらに教育格差が広がることが懸念される。

 ひとり親家庭の子どもたちを対象に、オンライン天体観測事業を実施したことがある。参加者と県立ぐんま天文台をインターネットでつないで開催したことで、費用や送迎の負担を軽減でき、子どもたちの支援にオンラインを活用することの可能性を感じることができた。

 多くの自治体ではGIGAスクール構想の一環として、子どもたちへのタブレット端末の貸し出しを進めている。現状では学校内での活動に使われることが多いが、社会教育団体などと連携することによって、学びの経験を提供できる可能性をさらに広げることができるのではないだろうか。

 【略歴】高崎高3年だった2016年11月に同NPO法人を設立し、若者の地域定着に取り組む。21年5月から22年3月まで「前橋市高校生学習室」室長。慶応大4年。

2022/5/20掲載