群馬県みどり市の強盗殺人・放火事件で、強盗殺人容疑で逮捕されたフィリピン国籍のアルバイトの男(38)=入管難民法違反(不法残留)罪で起訴=は在留期限が切れてから約2年半、日本にいた。住まいを確保し、工場などで働き、日本人や外国人との集まりに加わって過ごしていたとみられる。全国で6万人以上とされる不法残留者は本来就労できず、賃貸住宅などの契約も難しいはずだ。なぜ暮らし続けることができたのか。

■アパート、車運転
 捜査本部によると、男は2019年9月に短期滞在(15日)の在留資格で入国。逮捕時は機械部品製造会社のアルバイトだった。

 複数の地元関係者によると、別の企業で農業を手伝った時期もあった。季節や景気によって仕事量は不安定だった可能性がある。事件前の3月にも「仕事がなくなる」と周囲に漏らしていたとされる。アパートの部屋はある企業の借り上げで、同居女性がいた。近隣住民は日頃、メンドーザ容疑者が車を運転するのを見たと話す。

 出入国在留管理庁によると、全国の不法残留者は1月時点で6万6759人。県警は昨年、こうした不法滞在などの入管難民法違反容疑で外国人134人を摘発した。

 ある警察関係者は正規滞在者が大部分だと断った上で、不法滞在の外国人は身近にいると話す。仕事に就いて生活資金を得る例も多い。不法就労でも「雇い主が違法性の認識が薄いことが少なくない」という。

■真面目な印象
 目立たないように振る舞うため、真面目だと捉えられることも。「印象が先行し、オーバーステイと知っても通報しない例はある」と解説。「察しても、面倒事に巻き込まれたくない人もいる」と付け加えた。

 県内の監理団体の男性は、働いていると不審視されにくいため不法滞在者は「常に働き口を探している」と指摘する。弱みに付け込み、ごく低賃金で働かせる業者もあると明かす。車や携帯電話は、接点のある日本人や日本に慣れた同国出身者に頼むか、インターネット上で安価な中古品を調達する。今回とは異なるが、不法滞在者には失踪した技能実習生も含まれる。男性は「実習の前に金の流れなどを学べる機会を設け、互いの利益となる制度にしなければならない」と話した。

■人手不足で黙認
 県内で凶悪事件を起こした外国人の裁判で証人に立った神戸大大学院の斉藤善久准教授は、不法滞在の外国人が北関東に多く集まり、交流サイトを駆使して住み着くと指摘する。「同国人と情報交換し、同居できるアパートや仕事のブローカーを探す」。人手不足の事業所で黙認のまま重宝される例もあるとした。

 在日ベトナム人の駆け込み寺である大恩寺(埼玉県本庄市)の尼僧、ティック・タム・チーさん(44)は「困窮して体調を崩したり凶悪犯罪に手を染めたりする前に解決できる環境が必要だ」と話した。