群馬わんにゃんネットワークは毎月、野良猫を捕獲して避妊去勢し、元いた場所に戻す「TNR活動」をしています。「T(トラップ、捕獲)」を説明した前回(3月28日付)に続き、今回は「N(ニューター、避妊去勢)」を取り上げます。

 春は猫の盛りの鳴き声が気になります。猫は年に2、3回出産し、1回に2~5匹を産みます。納屋で、空き家で、物置で、知らない間に子猫が育っていたという経験は、多くの人がしていることでしょう。

 猫は子育て上手で、過酷な屋外生活でもちゃんと育てます。Nの最大のメリットは数が増えないことですが、発情期特有の鳴き声を出さなくなり、町が静かになるという効果もあります。いなくなったのかと言われることもあるほどです。

 オスはメスを探して遠くまで出歩かなくなり、それによって交通事故、迷子なども減ります。メス争いのけんかがなくなり、けがや、けがによる感染症からも守られます。オスがマーキングする尿の臭いは、去勢によってかなり軽減されます。

 繁殖に使っていたエネルギーが必要なくなるので、食べ物で得たエネルギーを温存できるようになり、避妊去勢を済ませた猫は毛並みがとても良く、ふっくらします。他にもホルモンの影響で発症するさまざまな病気の予防にもなります。

 猫が好きではない人は、腹の大きいメスを見ると「また産むのか」「何匹増えるのか」と気が重くなるでしょうが、Nが終わればもう増えることはありません。徐々に数は減ります。

 餌やりをしている方は、近隣からの苦情が増えてしまうのでは、という心配が少し和らぎます。増えないことにより、野良猫を世話することに理解が得やすくなり、結果としてごみ箱をあさる苦情もさらに少なくなると思います。ただし、餌やりにはルールがあることを認識し、しっかり守ってください。

 活動を通じ、野良猫の問題解決には、まず避妊去勢が重要だと学びました。これをしないことには何も先に進まないのです。

 県内には現在、藤岡、前橋、高崎、桐生の各市に野良猫の避妊去勢専門病院(スペイクリニック)があります。多くの野良猫にとって、医療を施されるのは一生に一度。術前検診ができないことや抜糸までの保護と観察が難しいことなど、さまざまな課題を承知の上で、獣医師はできる限りの医療を提供してくれ、術後は元気な様子を共に喜んでくれます。私たちの安全なTNR活動は、こうした獣医師らに支えられています。

 外で生きていく猫が、今までいた場所で、これまでと同じ生活を続けていけるよう、多くの方にTNR活動を理解してもらい、協力してほしいと考えます。

 【略歴】2017年に多頭飼育崩壊で困っている高齢者と出会ったのを機に、群馬わんにゃんネットワークのメンバーになる。18年から県動物愛護推進員も務める。

2022/5/21掲載