▼1960年代は国内で高度経済成長期と位置付けられる。東京五輪が開かれた64年、前橋市に県内初のデパート、前三百貨店が開業したと聞けば、往時の勢いが記憶によみがえる人も多いのではないか

 ▼上毛かるたの読み札は当時「力あわせる百六十万」。同市史は、区画整理や上下水道敷設といったインフラ整備をはじめ、急速な人口増への対策に追われた様子を伝える

 ▼同市で県内最大規模の広瀬団地の入居が始まったのが66年だった。住宅難から、子育て世代などが競うように入居。周辺には学校や店舗が新たに建ち、地域を一変させた

 ▼半世紀余りがたった現在、入居世帯は高齢化を迎え、老朽化した集合住宅は空き室が目立つ。住民のコミュニティー喪失に瀕(ひん)する姿は、皮肉にも今度は人口減少に直面する地域社会の課題を象徴するかのようだ

 ▼この団地に再び活気を戻そうと、前橋工科大の学生らが今春、本格的に取り組み始めた。自らが入居して生活者の目線で課題を探り、住民や地元企業の力も借りて解決を図り、にぎわいを呼び込みたい考え

 ▼本紙も課題解決型報道と位置付けて活動に密着し、長期企画「Rebirth(リバース=再生)」(3日付に初報)を紙面とネットで発信していく。堤洋樹准教授(49)は「試行錯誤するなかから答えを見つけ出してほしい」と活動を見守る。そして解決へのヒントを学生と一緒に模索するつもりだ。