鈴木さん夫妻を見送る樋田さん(右)

 川原湯温泉で最も古い約360年の歴史がある山木館(群馬県長野原町川原湯)が21日、休業に入った。コロナ下で経営が悪化したことから、一時休業してサービス内容などを見直す。最終日は常連客らが宿泊し、早期の事業再開を望んでいた。

 休業について、15代目の樋田勇人さん(27)は「希望を持って次に向かうための準備期間。歴史や思いを引き継ぎつつ宿の形を時代に合わせたい」と話した。

 同館は1661年創業。八ツ場ダム建設に伴い2013年に高台に移転した。1泊2食付き1人2万~3万円の高級路線で正社員5人を雇うなど同温泉では規模の大きな宿だったが、コロナ下で人件費が負担となり、今年3月下旬に一時休業を決めた。

 常連の鈴木光夫さん(68)、優子さん(68)夫妻=千葉県茂原市=は最終日に宿泊した。温泉や朝食の栗おこわが気に入って年2回は訪れるという。2人は「建物も素晴らしく、こうした宿はなかなかない。再開したら飛んでくる」と惜しんだ。

 同館は高級路線のしつらえは維持しつつ、家族でおもてなしをするようなアットホームな雰囲気の宿に転換する。樋田さんは「お客さんに満足してもらえるか、経営は成り立つのかいろいろ考える。早ければ年内に再開したい」と展望している。