昨年夏、修了研修として同組合の敷地内に木造住宅の骨組みを建築する大工志塾1期生(町提供)

 豊かな森林資源の活用に向け、群馬県神流町と神流川森林組合は、全国の若手大工らが木造建築の伝統技術を学ぶ教育プログラム「大工志(だいくし)塾」に協力している。実技研修の会場や使用する木材を提供するなどして支援し、町産木材の魅力発信などにつなげたい考えだ。本年度は塾生が骨組みを手がけた住宅を町営として貸し出す予定で、町への移住や定住の促進も目指す。

 プログラムは木造建築の伝統技術を担う人材の育成を目的に、住宅産業研修財団(東京都、上野公成理事長)が2018年10月から開始。普段は工務店で働く若手大工らが塾生となり、3年計画で伝統の技法を学んでいる。毎月、全国各地で開かれる研修を受講するが、同町では初年度から毎年、各期生が実技研修に励んでいる。

 実技研修で取り組む建築物は、プログラムが進むにつれて難易度が上がる。「合掌造り」から始まり、五重の塔などの製作を通じて理解を深めていく。昨年夏には1期生が修了研修として、同組合の敷地内に単身2人が入居できる住宅の骨組みを建築。仕上げ後は同組合員住宅として活用している。

 プログラムへの協力は町にも利点がある。研修では同組合のスギやヒノキを使うが、購入費を町が全額負担することで、組合員の雇用の安定につながる。研修期間中は塾生らが町内の宿泊施設を利用するため、コロナ下で落ち込む町内経済の活性化にも貢献する。未来を担う若手大工らの実践の場となっていることを全国に発信し、町産木材の魅力もアピールしていく考えだ。

 実技研修の成果物を移住者らの住宅確保に結び付ける取り組みも進む。町は3月、いずれも築年数が30年以上経過していた同町麻生の5棟の町営住宅のうち1棟を解体。22日から2期生が、同所に2世帯が入れる平屋建て1棟の骨組みの建設作業を開始した。6月上旬に終了予定で、町内の建設業者が仕上げて年度内に町営住宅として活用を開始する。

 田村利男町長は「手元にある資源にいかに付加価値をつけていくかが課題だ。町が誇る木材のブランド化を進め、全国に売り出していきたい」としている。