広瀬団地(前橋市)の住民との交流につなげようと、団地再生に取り組む前橋工科大の学生ら6人は20日、団地内の広場の一角に、サツマイモを植え付けるための畑を整備した。6月5日に住民を募って一緒に苗を植える。育てて収穫し、11月には焼き芋会で住民に振る舞う計画だ。実は昨年同じ挑戦をして、失敗している。

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農業の経験なし

 「全然掘り返せないんだけど!」。4年の塚越理華さんは、長い柄の農機具を何度も土に振り下ろし、いまいましそうにこぼした。手にしていたのは「あぜかき(立鎌)」。本来は立ったまま地面の草を削るように刈る道具で、鍬(くわ)のように土を掘り起こす用途には向いていない。農作業の経験がほとんどないのだから、知らないのも無理はない。斎藤なる美さん(4年)とともに、小さなシャベルも使いながら土と格闘した。

力を合わせて「旧砂場」を掘り起こし、畑作りに励む学生たち

 1本だけあった鍬を手に発奮したのがナカマジェットさん(4年)だ。「以前、親の知り合いの農園で畑仕事を手伝ったことがある」と力強く掘り起こす。

 1時間も作業をすると、学生たちに疲労の色が見え始めた。すかさず花生琉奈さん(4年)が声をかける。「去年のあの不作は御免。しっかり掘って!」

収穫数個の1年目

 堤洋樹准教授の研究室では、昨年もサツマイモ栽培を試みた。土作りをして30~40株の苗を植え、葉は茂った。しかし、収量は長さ10~15センチほどのイモがわずか数個だけ。結局、イモは外部から購入し、配布会に切り替えた。一緒に収穫し、焼き芋をして住民との距離を縮める機会にするはずだったが、ほろ苦い1年目となった。

 原因について学生たちは、建物や木の影になる立地で日当たりが悪かったこと、土壌の状態の確認が不十分だったこと、土が硬くて耕し方も浅かったこと-などと分析した。反省を踏まえ、今回は日当たりも水はけも良い「旧砂場」(縦5.8メートル、横4.4メートル)を畑として活用。土壌の酸度を計測し、適切な肥料も使うように改めて臨んでいた。

「ピンチかも…」

 もともとは砂遊びができていた「旧砂場」は、長年放置され、草の根が張り、土が硬く締まり、その名残は見えない。そこへ、塚越さんが土中から古びたフィギュアを見つけた。「ウルトラマンだ。確かに砂場だったんだね」。疲れがにじむ6人の表情が緩んだ。しかし、その直後―。

 「ちょっと、ピンチかもしれない…」。用意していた土壌酸度計をのぞきこんだ花生さんが重い声を上げた。酸性・アルカリ性を示す数値は「pH7.0」。ほぼ中性だが、サツマイモの栽培にはやや酸性のpH5.5~6.0が適するという。

pH7.0を示す土壌酸度計。サツマイモの栽培には少しアルカリ性が強いようだ

 スマホで調べ、「今の状態だと、ホウレンソウくらいがちょうど良いみたい」と花生さん。昨年の失敗が脳裏をよぎり、提案した。「畝(うね)作りをする時に土壌調整剤を混ぜて、もう一度計測してみよう」。十分に掘り起こした畑から小石や雑草を取り除き、この日の作業を終えた。