群馬大未来先端研究機構の柴田淳史准教授らの研究グループは23日、人体の細胞のDNAが傷ついた際、「ATR」「AKT」「mTORC1」と呼ばれる分子を中心に情報の伝達が起こり、特定のタンパク質がつくられることで免疫細胞が活性化、修復する―という免疫応答のメカニズムを解明したと発表した。今後、同じくDNAの損傷が関係するがんの治療法や予防法の開発・改善に期待ができるとしている。

 DNAはストレスや飲酒・喫煙、老化、慢性炎症、紫外線、放射線によって損傷するが、細胞の修復機能によって健康を維持している。これまでの研究で、DNAに放射線を当てて損傷を与えると、タンパク質「HLA ClassI」が増えて免疫細胞が活性化することが分かっていたが、その仕組みは明らかになっていなかった。

 柴田准教授によると、次世代シーケンサーを用いて分析した結果、「HLA ClassI」を増やして細胞を修復する際にATRなど三つの分子がリレー方式による連携で情報伝達し、重要な役割を果たしていることなどが新たに分かったという。

 今後の展望については、「三つの分子の情報伝達を増強させることができれば『HLA ClassⅠ』が増え、がんなどに対する免疫を活性化させることができる可能性がある」と語った。

 九州大大学院などとの共同研究。研究は米国生命科学誌の「Molecular Cell」の電子版に掲載された。