▼皇帝ナポレオンの最初の妻ジョゼフィーヌは植物を愛し、とりわけバラを慈しんだ。パリ郊外の居城に世界中から集め、掛け合わせて新しい品種を生み出した。「モダンローズの母」と呼ばれるゆえんである

▼多彩な色も姿もかぐわしさも、その情熱のおかげだろう。先週末、玉村町の北部公園に立ち寄ってみると一画を占めるバラ園がちょうど見頃だった。華やかな花壇を巡りながら、マスクをずらして甘い香りを吸い込んだ

▼日常生活に定着したコロナ対策のマスクについて、政府が着用の基準を緩める見解を発表した。屋外で会話が少ない場合や、屋内でも人との距離が取れて会話がほとんどない場面では、着ける必要がないと示した

▼マスク生活は3年目。“息苦しさ”からようやく解放されると感じた人は少なくないようだ。共同通信社の全国世論調査で、緩和は「適切だ」とする回答は53.9%、「もっと緩和するべきだ」も15.2%だった

▼日常を取り戻す一歩にもなると歓迎の声がある一方、慎重な意見も根強い。調査でも約3割は緩和に反対だった。それぞれに事情があることを想像し、自分と異なる考えの人をとがめるような振る舞いは慎みたい

▼忘れてならないのは、手洗いなど基本的な予防策をおろそかにしないことだろう。「うつさない、うつらない」を第一に考えれば、おのずと着脱の切り替え場面も浮かんでこよう。