パノラマ広がる「市女がさ」

 県南西部を流れる鏑川や神流川の上流域「西上州」には、低山ながら個性的な山々が連なる。葉ずれの音や沢音を聞きながら歩く樹林帯、登山道沿いにたたずむ石仏・石造、スリルのある岩稜や岩峰など、変化に富んだ山歩きを楽しめる。いかにも西上州らしい山の一つ、上野村の笠丸山(標高1189メートル)に登った。

笠丸山は「群馬の山歩きベストガイド」240~241ページ掲載

 村を東西に走る国道299号から登山口のある集落・住居附(すもうづく)に向かう。途中、木々の間から見える市女がさのような岩峰が目指す笠丸山だ。

意外に厳しい登山道。アカヤシオが見頃を迎えていた

 登山口に車を止め、新高畑橋を渡り、雑木林が美しい沢沿いの道をたどる。次第に傾斜がきつくなり、最後の急斜面を登り切ると地蔵峠。巨木の根元に小さなお地蔵さまが安置されていた。峠からはアップダウンの続く尾根道。張り出した木の根をつかんだり、見頃を迎えていたアカヤシオツツジの花の下をくぐったりしながら高度を上げる。ロープのかかる急斜面を登り詰めると、山頂に続く稜線のコルに出た。

 コルを右折、数分で西峰に到着した。展望は素晴らしい。西上州はもちろん、両神山、上武国境の山々など、全方位の山を見渡せる。視線を下に向ければ、住居附集落に向かう道路も見えた。

360度の展望を楽しめる笠丸山(西峰)山頂

 コルまで引き返し、そのまま直進して東峰に向かう。尾根の両サイドはスパッと切れ落ちていて、少し緊張する。木立に囲まれた東峰には、山頂の表示と小さな木のほこらがあった。さい銭をあげて、山行の無事を祈った。

 下山路も急傾斜。足元はザレていて、気を抜くと、ズルズルと滑り落ちそう。足の置き場を見極めつつ慎重に下る。植林地帯に入っても急傾斜は続き、膝が笑い出したころ、登山口に着いた。

 所要時間は3時間程度。短時間ながら充実した山歩きを楽しむことができた。(K)

(取材日・2022年4月17日)


 

 「群馬の山歩きベストガイド」(上毛新聞社刊)※は、本県の主要な山の特徴やルートをコンパクトにまとめたガイドブック。若い頃はあちこち出かけた山も、しばらく足が遠のいていたが、この春山登りを再開したのを機に掲載された「全座制覇」を思い立った。とはいえ、そう気負ったものではない。いつまでかかるか分からないし、途中で投げ出すかもしれない。自由に、気ままに、気長に、群馬の山を上毛新聞の記者が歩く。

 ※コースガイドと分かりやすいマップのほか、アプローチ、アクセス、コースタイム、適期やルート長・標高差などのデータを盛り込んだ登山ガイドの新定番。定価1540円。群馬県内の書店やインターネット通販Amazon(アマゾン)などで取り扱っている。問い合わせは上毛新聞社営業局出版編集部(電話027-254-9966)へ。