ペットの肩甲骨の間に埋め込まれたマイクロチップを専用機器で読み込むと、個体識別番号が分かる=24日、前橋市の「世界の名犬牧場」

 ペットになる犬や猫にマイクロチップを埋め込んで販売することを繁殖・販売業者に義務付ける改正動物愛護法が1日、施行される。専用機器でチップの情報を読み取ると業者や飼い主の名、連絡先などが分かる。迷子や大規模災害時の返還効率を高め、心ない遺棄を防ぐ。個人が既に飼育している場合の新規装着は努力義務で、飼い主の受け止めはさまざま。県獣医師会は普及に向け、必要性を啓発している。

 同会によると、現在もチップを使った民間データベース(DB)が複数運営されているが、6月に環境省のDBが立ち上がり、法定登録先となる。既存DBの利用者は今月末まで、通常は手数料がかかる環境省DBへの登録が無料になる。

 チップを基に環境省のDBを参照できるのは、読み取り器が配備される各地の警察と自治体。これに対して既存DBは獣医師が参照できるなどそれぞれに特徴があり、併用可能という。

 高崎市の会社員、井上結太さん(22)は4年前にペット店で柴犬を購入した際、チップを着けた。「迷子になったらかわいそう。他の人の迷惑にもなる」と納得している。

 世界の名犬牧場(前橋市)を訪れた高橋あゆみさん(24)=栃木県栃木市=は昨年10月に保護犬の譲渡会でミックス犬を引き取った。チップは既に着いていた。「かわいそうとも思ったが、虐待や遺棄防止につながるなら」と理解を示す。

 一方、犬猫を飼って50年近いという男性(61)=埼玉県秩父市=は住所や連絡先を首輪に記せば十分だと考える。チップが体内を移動するなどのトラブルも想定する。「チップか首輪か選べるならまだしも、国が強制するのはどうか」

 同牧場内のペット店は昨年から全ての犬に装着して販売。難色を示す客もいるが、常盤光店長は「恩恵を受けるのは飼い主。利点に納得してほしい」と語る。

 県獣医師会の大沢一之事務局長は、東日本大震災でペットとはぐれる実例が相次いでから、飼い主の意識が変わったと感じている。「装着時の注射は過度の痛みを与えず、副作用の報告はほとんどない」と説明。獣医師に相談して装着するよう呼びかける。

 動物愛護団体のNPO法人群馬わんにゃんネットワーク(高崎市)は4年ほど前から全ての保護犬にチップを着けているが、猫には装着しない。猫は行方不明時に見つかる可能性が低いためで、飯田有紀子理事長(59)は「体の負担を考えると、飼い主の意識を高めるのが先」とする。

 チップがあっても個人情報が登録されていなかったり、登録情報がペット店の営業に使われた例もあるという。「登録情報を一本化できれば便利だが、国には現行制度の問題点を把握してから施策を進めてほしい」と注文した。

 マイクロチップ 直径1~2ミリ、長さ8~12ミリの円筒形。生体適合ガラスなどのカプセルに電子タグを格納する。主に犬や猫の首の後ろに獣医師が注射器で埋め込む。改正動物愛護法では、埋め込み後に購入や譲渡により新たな飼い主となった個人・団体は所有者情報を変更登録する義務を負う。