▼桐生市中心街の本町通りから少し入った場所に、倉庫として使われていた古いビルがある。2階に足を運ぶと、体長3センチほどに成長したカイコが桑の葉を食べていた。飼育数は3万匹。まちなかで2回目となる養蚕が始まっている

 ▼都内から同市に本社を移し、服飾や化粧品の企画販売などを手がける企業が事業の一環として取り組む。減少が続く国産シルクを守りたいとの思いから立ち上がった

 ▼3月には同市黒保根町で借りた3千平方メートルの畑に桑の苗2千本を植えた。地元に拠点を置く市地域おこし協力隊などが活動に協力。栽培した桑の葉を今秋から少しずつ使う計画もある

 ▼まちなかでの養蚕は、業務委託を受けた市内のまちづくり会社が取り組む。JA太田市の養蚕指導員の助言を受け、昨秋には使われなくなった道具を集め、初めて1万5千匹を育てた

 ▼今回は5月中旬にカイコを運び込み、1カ月後の出荷に向けて給桑や温度管理に汗を流す。まちづくり会社社長の川村徳佐さんは「カイコは繭だけでなく、さなぎからふんまで全て使える。収益性のある事業にするため、付加価値をつけて売りたい」と意気込む

 ▼県内では養蚕農家の数が減少している。高齢化に伴う生産規模の縮小などを理由に繭の生産量も減り、担い手の確保が大きな課題となっている。シルクカントリーの復興に向け、「織都桐生」から新風を吹き込んでほしい。