新型コロナウイルス感染拡大防止のマスク着脱を巡り、群馬大情報学部の柿本敏克教授は社会心理学の見地から、マスクを外してもよいとされた場面での人々の振る舞いに影響する要素として①専門家の意見②危機感の共有③同調圧力④大義名分⑤正当性―を挙げ、「もともと着用に積極的な人と消極的な人が、それぞれ情報を都合よく解釈して行動する段階に入るだろう」と推測している。

 2020年の感染拡大初期、マスクの着用がすぐに定着した。柿本教授は感染症の権威である「専門家の意見」が繰り返し着用を推奨し、感染への「危機感を共有」していた人々は従ったとみる。ウイルス拡散防止への協力が社会のためになるとされ、「同調圧力」も働いたという。

 日本は公衆衛生と異なる理由でマスクを習慣的に着けていた人も多く、感染症対策という「大義名分」や「正当性」が与えられ、着用が一気に進んだと分析する。

 今度は場合によって外してもよいとされたが、人々は周囲の目を気にせず外せるのか。柿本教授はワクチン接種とオミクロン株の普及で重症化しにくいという感覚が広まり、共有されていた危機感が薄れた一方で、他の四つの要素は変わらず影響力を持っていると指摘する。このため、もともと着用に消極的だった人は外し、積極的だった人は着けると判断が割れると見通す。

 今後もマスクを着ける必要がある場面は多く、県民は使い分けを迫られることになる。気の緩みで「外しすぎ」と問題視される恐れもあるが、柿本教授は「微妙な程度の問題。どのような場合が外しすぎといえるか、専門家や行政でも判断は難しいだろう」とした。